「スタンガンも自分の体で試してます」護身用品店のカリスマ女性店長が、知識ゼロから“護身用品オタク”になったワケ
初スタンガンの感想は……「そうでもないな」
──スタンガンなど扱っている商品は自分で試しているとか……。 催涙スプレー以外は試しますね! やはり体験しているのと、してないのとではお客さんへの説得力が違いますから。 ──初スタンガン体験はいつだったんですか? 入社3日目でした(笑)。電流が流れた瞬間、バーッと汗が出ましたが、「そうでもないな」というのが率直な感想です。 ──「そうでもない」って(笑)。ドラマや映画だとスタンガンを当てられて失神するシーンがありますが、大丈夫なんですか? 当店で扱っている商品は、失神まではしないですね。お客さんには「熱い鉄板に触っちゃった感じ」と説明しています。もちろん痛いんですが、どちらかというとスタンガンは攻撃用ではなく、音で威嚇するものなんです。ババッと光らせて音を出して、相手がひるんだ隙に逃げる。そういう使い方を勧めています。 ──お店で体験するお客さんっていますか? います。男性同士で「お前がやれ」「やだ」「じゃあお前がやれ」みたいなことが続くと、歯がゆいので、わたしがやって見せます(笑)。女性のお客さんの中には3種類を試して「じゃあ、これにします」なんて方もいましたね。女性よりも男性のほうが音にビビることが多いですね。立て続けに3つも試すと、腕から焦げ臭いニオイがしますし(笑)。 ──催涙スプレーが気になるんですけど、効果はあります? 護身グッズの中でも催涙スプレーは1番効くと思います。唐辛子が入っているので、その痛みは絶大です。 目に入ったら、20分くらい流水で洗わないとダメで、最低2~3時間は痛みで苦しみます。使い終わったスプレーは水に沈めて、液体(唐辛子)が飛ばないようにして廃棄するんですが、3本くらい廃棄した日に家に帰って彼氏に触れたら、めっちゃ痛がってました(笑)。成分がうっすら手に残ってたんですよね。それくらい効き目がすごいです。
護身用品は携帯することで抑止力になる
──どんなお客さんが来られますか? 当初は、ガタイがよくてちょっと強面の男性客が7割を占めていましたけど、今はお子さん連れや女性の方も来店します。 ネット上で揉めて、なにかあったら怖いからってスタンガンと催涙スプレーを購入された女性もいましたし、不良を集めた格闘技イベントで有名な方が、十数万円分、いろんな護身グッズを買っていかれたこともあります。 最近は、難民で治安が不安視される街から来られる方も少なくないですね。 珍しいところでは、スタンガンを研究している大学の先生が来たことがあります。研究材料として購入されていかれました。 あとは、サムカフ(指錠)を2つと、折りたたみスコップを買った方がいました。手と足の親指を拘束して、スコップでなにをするんだろうって、想像してしまいました。マフィア映画でよくみるシーンみたいなことにならないことを祈っていますが。 ──お客さんに感謝されたことはありますか? 災害で被災された女性がスタンガンを買っていかれたのですが、後からすごく役立ったとお礼を言われました。避難所で夜トイレに行くとき、襲われないようにみんなで使い回していたそうです。 避難所で生活している男性の中には、災害のストレスで変なスイッチが入ってしまうことがあって、スタンガンを持っているだけで抑止力になったそうです。 ──今後、どんなお店にしていきたいですか? 門戸を広く、幅広い年代の方に来ていただきたいですね。決して相手を傷つけるのではなく、なにかあったときに身を守れるように、グッズの使い方や危機管理に対する意識を当店で高めて欲しいです。 取材・文/集英社オンライン編集部 写真/わけとく <プロフィール> 護身用品の専門ショップボディーガード (https://www.body-guard.jp/) 大分で創業。日本で唯一の護身用品店を全国展開。2018年秋葉原に実店舗をオープン。他に名古屋・伏見店、大阪・なんば店がある。スタンガン、警棒、催涙スプレーは18歳以上、購入時身分証の控えが必須。身の守り方、道具の使い方など親身に相談に乗ってくれる。Webサイトでは24時間いつでも注文が可能。
集英社オンライン編集部