草彅剛&中川大志が語る武士の魂「正直、面倒くさい(笑)。でも、憧れはあります」
リンゴの皮剥きは、名人級です
――ちなみに、格之進のような清廉潔白、謹厳実直な武士の生き様についてどう思いますか。 草彅 正直、面倒くさいですね(笑)。可愛い娘がいるのにさ、何こだわってんのと思っちゃいましたよ(笑)。 中川 頑固ですよね(笑)。 草彅 頑固だよね。まあ、それを言っちゃ話にならないわけで(笑)。そういう気持ちもありつつ、格之進の美しくて清らかな魂に憧れる気持ちはあったかな。それは、今の僕たちでは到底辿り着けないもので。きっと昔の日本人はみんな持っていたんだと思う。それを、観てくれた人が少しでも感じてくれたらうれしいかな。きっと監督もそういう思いでこの映画を撮ったと思うので。 中川 日本人の生き様というか、美学が描かれた映画ですよね。僕の役も板挟みになって、些細なことが気づいたら取り返しのつかない大きなことになってしまう。そういうところは共感できるんですけど。嫌疑をかけられて、もし自分が間違えていたら腹を切るというところまでいくのは、やっぱり今の僕らの感覚とは全然違う。共感できるところも、全然違うなと思うところも含めて、いろんな思いをめぐらせられる映画だと思います。 ――ちなみに、中川さんには清廉潔白、謹厳実直な武士の魂は? 中川 あ、僕、全然ないです。 草彅 ないんだ(笑)。ああいう男らしい要素みたいなのは? 中川 ないですね。 草彅 そっか。カメラばっかりさわってるんだね。 中川 はい。カメラばっかりさわってます(笑)。 ――では最後にライトな質問を。格之進は囲碁の名人ですが、お2人のこれだけは負けない名人級なことといえば? 草彅 僕は古着を結構いいやつ持ってます。10代の頃から集めてて。ジーンズだけじゃなく、ヴィンテージ全般が好き。そういうマニアックなところはなかなか負けないと思う。中川くんは? 中川 僕はリンゴの皮剥きです。細く長く丸々1個剥くのは得意です。父親が得意で、教えてもらったんですけど。 草彅 そうなんだ。リンゴ好き? 中川 好きです。 草彅 僕も好きなんだよ。今度あげるね。どこのを買うの? 中川 あ、普通にスーパーで売ってるのを……。 草彅 へー! スーパーとか行くんだ! 中川 普通に行きますよ(笑)。 草彅 なんだかこのリアクション、俺が中川くんのファンみたいじゃん(笑)。 取材・文:横川良明 撮影:映美 <作品情報> 『碁盤斬り』 5月17日(金) 全国公開 配給:キノフィルムズ 出演:草彅剛 清原果耶 中川大志 奥野瑛太 音尾琢真 / 市村正親 斎藤工 小泉今日子 / 國村隼 監督:白石和彌 脚本:加藤正人 音楽:阿部海太郎 【STORY】 浪人・柳田格之進は身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われ、娘のお絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らしている。しかし、かねてから嗜む囲碁にもその実直な人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心掛けている。ある日、旧知の藩士により、悲劇の冤罪事件の真相を知らされた格之進とお絹は、復讐を決意する。お絹は仇討ち決行のために、自らが犠牲になる道を選び……。父と娘の、誇りをかけた闘いが始まる!