韓国大統領官邸、バスと鉄条網で「鉄壁」作る…警察、2回目は特攻隊の投入検討
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の逮捕状有効期間満了翌日となる7日午前、ソウル・漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸内部にはものものしい雰囲気が流れた。3日に最初の逮捕状執行を試みた時も大型バス1台が官邸の門の後方を遮断していたが、この日午前には鉄門の前に大型バス1台と後方に2台が追加で配置された。前日には大型バス5台が縦横に壁のように配置されたりもした。高位公職者犯罪捜査処と警察が2次阻止線を迂回して通り過ぎた山道には輪っか状の鉄条網が設置されていた。 昨年12月3日の非常戒厳事態を捜査する警察国家捜査本部は2回目となる尹大統領の逮捕状執行に向け、対テロ部隊である警察特攻隊投入などを検討している。国家捜査本部は1回目の逮捕状執行を試みた際もこれを検討したが、投入を決定はしなかった。しかし最初の執行の試みが失敗に終わってから大統領官邸を囲む警護処の「鉄壁」はさらに強固になった状況だ。警護処は1回目の逮捕状執行失敗後にバスによる壁と鉄条網を追加で配置するなど警備態勢を強化している。 警察出身である「共に民主党」の李知恩(イ・ジウン)麻浦甲地域委員長はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で「警察特攻隊の火力と圧倒的人員で初めから警護官の抵抗意志を粉砕しなければならない」と強調した。高位公職者犯罪捜査処が前日警察に逮捕状執行を一任しようとしたが再び翻意した状況であるだけに国家捜査本部が今回の逮捕状執行で主導権を持つだろうという観測が出ている。 国家捜査本部もまた、2回目の試みを成功させるためには追加人員投入は避けられないとみている。1回目よりも多くの人員を投じることを検討している。当時国家捜査本部は捜査官120人と秩序・安全などの目的で機動隊2700人を投じた。国家捜査本部関係者は前日の会見を通じ「(1回目に逮捕を試みた時も)必要な人材だけを投じ、最大人数を投じたのではない」と明らかにした。 警護処が作った「人間の壁」を突破するためにも追加人員投入は避けられないという意見が国家捜査本部内部で出ている。当時警護処は独自の人材と軍を動員してスクラムを組んで人間の壁を作った。このうちの一部は個人火器で武装していたという。官邸の200メートル前を約200人が互いに腕を組んで阻止線を構築した。当時投入された国家捜査本部と高位公職者犯罪捜査処の人員150人のうち3人だけが官邸近くに到達できた。 合わせて国家捜査本部は令状執行を妨害する警護処の人員に対して積極的に逮捕する方針を立てた。裁判所が発行した令状執行を実力阻止するのは特殊公務執行妨害容疑に当たるというのが国家捜査本部の説明だ。国家捜査本部は3日にも警護処首脳部などに対する逮捕の必要性を主張したが、令状執行の主体である高位公職者犯罪捜査処が「現場での不祥事を最小化しなければならない」という理由で引き止めて失敗に終わった。 朴鍾俊(パク・ジョンジュン)警護処長ら特殊公務執行妨害罪で立件された警護処関係者らが出席に応じていない状況も強制捜査のひとつの要因とみている。朴処長の場合、4日に一度召喚要求に応じなかったのに続き7日には「弁護人が選任できておらず出頭が難しい」とした。国家捜査本部は朴処長に対し、10日に出頭して調査を受けるよう要求した。イ・グァンウ警護本部長に対しても同日午後の出頭を再通知した。 警察関係者は「警護処は大統領室の家宅捜索も2回妨げており、大統領の逮捕状執行に備えて阻止線をあらかじめ計画したりもした。時間を引き延ばそうという目的と司法手続きに応じないという意図が明確に見えるだけに、より強力な手段が必要だ」と話した。 一方、ソウル西部地裁は高位公職者犯罪捜査処が延長期限のために再請求した逮捕状発付の可否を検討している。