トランプ氏で復活?「日米貿易摩擦」とは 坂東太郎のよく分かる時事用語
4月18日から「日米経済対話」が始まります。麻生太郎副総理兼財務相とペンス米副大統領をトップとして、(1)財政・金融政策の連携(2)インフラ、エネルギー分野などの経済協力(3)2国間貿易の枠組みの3点について議論します。 トランプが目論むNAFTA見直し 「保護主義」でアメリカが払う代償は? トランプ大統領はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)離脱を表明し、NAFTA(北米自由貿易協定)見直しを訴えるなど、保護主義的な姿勢を強めています。日本に対しても「フェアな取引ができていない」と語り、自動車業界などを名指ししました。 こうなると、主に1980年代の自動車の日米貿易摩擦を思い出してしまう……というのは中高年以上。それより若いと知らないという方もいらっしゃるかもしれません。「歴史に学ぶ」という意味も含めて振り返って見たいと思います。
「日本車に38%の関税をかける」
経済における「保護主義」とは保護貿易政策を指し、自由貿易が対置語です。自国の産業を守り、貿易赤字を減らすために、安い輸入品に高い関税(入国税のようなもの)をかけて相手国の競争力を削ぐとともに同じ生産物を作っている自国の産業を助けます。自国の輸出をするのに不利な条件を設けている他国には改善を求めます。通貨を安くして貿易を有利に運ぼうとしている国を非難して止めさせます。国内企業でありながら安い労働力を求めて海外へ工場を展開するようなまねをさせないよう警戒します。また他国から安い賃金で働いても構わないとする移民を制限します。 「トランプ語録」からもその意図は明白です。日本車を目の敵にして、米国産牛肉に日本が38%台の関税を設定しているから売れない。ならば「日本車に38%の関税をかける」と言い放ちました。 どうやらトランプ氏は日本車がアメリカで売れるのは関税が低いおかげで、日本は逆に関税でアメリカの車を阻んでいる。通貨(円)を意図的に安く誘導して輸出(アメリカからすれば輸入)を有利に運んでいるととらえているようです。