戸田レーシングとエクセディのモータースポーツにとどまらないすごい技術!インホイールモーターに未来はあるか?【人とくるまのテクノロジー展2024】
実走テストも行ったインホイールモーター
そしてもう1つ驚いたのがインホイールモーターだ。EVの一つの形態として期待されるインホイールモーターだが、現在主流のシャフトドライブ式に比べて劣勢だ。 しかし、戸田レーシングでは意外と古くからインホイールモーターを開発しており、実車(ギャラン・フォルティス)を改造しての走行テストも行ったという。 インホイールモーターが既存のシャフトドライブに対して劣勢なのはやはりその重量にある。クルマの運動性能において「バネ下重量」の影響が大きいのはよく知られているが、ホイール内にこの重いモーターを仕込むとなると運動性の悪化は否めないだろう。 逆にインホイールモーターのメリットはその省スペース性にある。ドライブトレインを完全にホイール内に収めてしまうので、前述のe-Axleやドライブシャフトなどは不要になるので、より広くフラットな室内空間を確保できるようになるわけだ。 また、駆動力制御の最後の段階でドライブシャフトを介さないので、制御に対する応答もよりダイレクトになるという利点もある。 e-Axleとインホイールモーターは戸田レーシングの幅広い技術力の一端を垣間見ることができた。今のところe-AxleがEVドライブトレインの主流となっているが、インホイールモーターの今後の発展にも期待したくなる展示だった。
老舗クラッチメーカー「EXEDY」も電動化へ
EXEDY(エクセディ)は1950年に設立された株式会社大金製作所が始まり。以来、クラッチメーカーとして発展。1995年に社名をエクセディと改めている。AT化が進むなかで、AT用のトルクコンバータやATの内部パーツも製造。クルマのみならずバイク用のクラッチも手がけ、バイクレースの最高峰・MotoGPでも使用された。 そして何よりモータースポーツなどでスポーツクラッチのメーカーとして知られている。 そんなエクセディブースには最新のクラッチやATが展示されていた一方で、電動化の流れに対応した展示も見受けられた。特にEVバイク用のトランスミッションは3種類が用意されていた。 うち2つはスイングアーム後端にモーターと2段変速機を組み込んだドライブユニット「EV-2SP」で、省スペースに優れるのはもちろん、登攀時や積載時と高車速時をシームレスに繋ぐことで2輪EVのドライバビリティと電費を向上させることができる。 さらに既存のガソリン車と同様の形状をしたCVTタイプ「EV-CVT」も展示されており、こちらはCVTのシステム自体は既存のものと変わらないのだが、パワートレインをエンジンからモーターに変換できるのがポイントになっている。 これらのバイク用変速機は、登攀時や積載時などのトルクが必要な時は1速、高速域では2速、その中間はモーターのみという制御で、変速機は2段だが実質3段とも言える。その目的はどのような走行状況でも最高効率点に近い高効率領域でモーターの出力を利用するためだ。 電池積載量やモーターのサイズに限りのあるバイクにおいて、高効率化は必須。高効率と優れたドライバビリティを実現するにはEV用の変速機は大きな役割を担っていると言えるだろう。
【関連記事】
- "見えないメーター"ってなに?自動車用メーターの老舗・日本精機が提案する自動運転時代に向けた「インテリア一体型ディスプレイ」【人とくるまのテクノロジー展2024】
- 100年超の技術で披露する"見える光と見えない光"。小糸製作所「中距離/短距離用LiDAR」「高精細ADB」【人とくるまのテクノロジー展2024】
- ぐるぐる巻きばかりが"ばね"じゃない!これでも"ばね"なの?と言いたいばねもある? 日本発条の「グリッドばね」【人とくるまのテクノロジー展2024】
- スズキ・フロンクスってどんなクルマ?『人とくるまのテクノロジー展2024』に展示されたホワイトボディの正体はコンパクトSUVのグローバルモデル!?
- ただのドンガラじゃないぞ!メーカー解説員が教えるホワイトボディの見どころとは?