リタイア世代こそ新型NISAが必要な5つの理由!
新NISAで商品投資の選択肢も
問題はどんな金融商品に投資するかだが、一般的には日本を含めた全世界の株式市場に投資する「オールカントリー」と、米国株の代表的な株価指数である「S&P500」に連動することを目指す投資信託の人気が高いと報道されている。この選択肢で良いのかどうかは、5年先、10年先にならないとわからないものの、日本以外の資産に投資するのは分散投資という意味で良い選択だろう。 日銀の金利引き上げが近いと報道されているが、日米の金利差が縮小することで、ドル円やクロス円も含めて、為替市場がやや円高に振れるかもしれない。そんなときは新型NISAで運用をスタートさせるチャンスと言ってもいいだろう。 もっとも、世界中の株式市場は価格が高くなりすぎて運用初心者としては怖い、という人もいるだろう。株式に投資するのではなく、たとえば金のような貴金属や原油のような資源関連に投資したいという人もいるはずだ。最近は高齢化する世界に対して運用対象を世界で最も安全な資産と言われる米国債から、金にシフトさせた方がいい、と指摘する債券の専門家の提言などが報道されている。(米ブルームバーグ「高齢化する世界、資産運用者に迫る変化と決断」2024年5月22日配信)。既存の投資セオリーが通用しない時代なのかもしれない。 金投資などには、NISAは使えないと思われがちだが、そうではない。新NISAで上場投資信託(ETF)を購入することも可能であり、その投資収益にかかる税金を非課税にできる方法もある。原油なども含めて株式市場で商品に投資できるETFが複数本上場されている(ただし、外国籍ETFの配当金や分配金には、外国で収益に課税される)。 運用経験者も、初心者も長い老後を運用せずに過ごそうとするのは、あまりにもリスクが高い時代であることを認識すべきだろう。 ◎岩崎博充(いわさき・ひろみつ) 経済ジャーナリスト 1952年、長野県生まれ。武蔵大学経済学部卒。雑誌編集者を経て、独立。経済、金融に特化したライター集団「ライトルーム」を設立。著書に『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後プア」から身をかわす 50歳でも間に合う 女の老後サバイバルマネープラン!』(主婦の友インフォス情報社)、『老後破綻 改訂版』(廣済堂新書)など多数。
岩崎博充