【これから上がる株銘柄はどれ?】元・大手証券マンのプロ投資家が『会社四季報』で必ずチェックする“4つの数字”
(3)売上高
~大化け銘柄を狙うなら「伸び率15~20%以上」が目安 売上高は、その会社が提供している商品やサービスが売れた額の合計です。時系列に並んだ売上高を見ることで、この会社がこれまでどういう売上高の伸ばし方をしてきたか、あるいはどのように減少してきたかを見ることができます。なお、売上高が増加するのを増収率といい、これが正に「成長率」となります。 前期から今期の成長率は、簡単な計算で出すことができます。 ◆(今期の売上高÷前期の売上高×100)-100=成長率(%) 2023年秋号では、合計3607社の今期(23年7月期~24年6月期)の伸び率は2.3%で、これが市場の平均値と考えてよいです。なお、株価が10倍になるテンバガーを狙う場合は、15~20%以上を目安とするといいでしょう。
(4)営業利益率
~10%以上なら「優良企業」だが、なんと「50%超の企業」も実在 営業利益とは、売上高から売上原価を引いた売上総利益(粗利)から、広告宣伝費と人件費(販売費)を差し引いたものです。事業を運営するために最低限のコストを引いたもので、本業の利益とも呼ばれ、とても重要な数字です。 この数字が売上高に対してどれくらいの割合なのかを見るのが「営業利益率」であり、会社が本業で稼ぐ力を示していて、複眼経済塾ではこれを「優良性」と言っています。 営業利益率は『会社四季報』には記載されていないため、自分で計算する必要があります。とはいえ、簡単な計算なので安心してください。 ◆営業利益率(%)=営業利益÷売高×100 全上場企業の平均営業利益率は7%程度なので、10%以上ある会社は優良企業と言えるでしょう。 10%で優良企業の仲間入りだというのに、実に営業利益率50%以上を誇る驚異の会社があります。本書第1章で野村證券の株価との比較で例に出した、FAセンサーなど検出・計測制御機器大手のキーエンス(6861)です。 2023年3月の営業利益率は、 498914÷922422×100≒54 実に54%にも上ります。 キーエンスは日本の上場企業の中で、最も平均年収が高いことで知られており、『会社四季報』の年収の欄には2023年3月時点(本書執筆時点)、2279万円と記載されています。 日本の上場企業の平均年収は約600~650万円なので、約3~4倍です。利益の出ている会社のすごさを実感させてくれる数字ですね。 渡部 清二 複眼経済塾 代表取締役・塾長 1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券株式会社入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。26年以上継続しており、2023年秋号の『会社四季報』をもって、計104冊を完全読破。 近著に『会社四季報の達人が全力で選んだ 10倍・100倍になる! 超優良株ベスト30』(SBクリエイティブ)、『株主総会を楽しみ、日本株ブームに乗る方法』(ビジネス社、複眼経済塾としての書籍でもある)などがある。
渡部 清二