イチローがマイナーで実戦復帰へ。意外性こそが流儀だ!
さて、合流から1週間。かくも調整は順調だったが、14日(同15日)に急ブレーキがかかった。 一回表、レフトの守備位置へ全力疾走したイチローだったが、その裏、イチローに代わって、ジョン・アンドレオリという選手が打席に入った。打順が変更になった、という可能性が考えられたが、気づけば、スコアボードのラインナップからも名前が消えている。まさか、という空気が漂う中、マリナーズの広報から、「イチローは、右ふくらはぎの張りで、交代」と発表された。 瞬間、記者席がざわついた。 過去、故障、あるいは体調不良が原因で、イチローが試合を途中で退いたのは、2009年に2回あるだけ。2009年のキャンプでは、WBCから戻ってきた直後、試合途中でベンチに下がった。その年の8月、インディアンズ戦で一塁へ走った時、左足のふくらはぎに張りを感じた。 シアトルのメディアもそのことを知っている。故に、空気が変わったのである。 ただその後も、途切れなく、驚きの展開が続く。 翌15日(同16日)はキャンプ施設に姿を見せなかったものの、16日(同17日)には屋外で練習を開始。17日(同18日)には、全体練習に復帰した。当初、「歩けなかった」そうで、確かにあの日、クラブハウスに戻るときもカートに乗り、駐車場へもカートで向かった。 しかし、イチローは、その夜から復帰に向けて初動負荷のマシーンを使いながら、トレーニングを開始。翌日も同様の練習を続けると、違和感を覚えてから2日後にはもう、室内ケージで打ち込むまでに回復した。そして、もう、19日(同20日)にはマイナーリーグの試合で復帰予定。開幕に間に合わない可能性もあったが、おそらく週半ばまでには、通常に戻る。そもそもマリナーズとの再契約が突然だったが、考えてみれば、その意外性こそが、イチローらしさを象徴するのかもしれない。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)