鳥インフルエンザ、年末年始に連続発生 今季20例超える
農場での高病原性鳥インフルエンザの発生ペースが上昇している。昨年末に今季初となる100万羽以上の大規模農場で発生して以降、今月7日までに6事例を確認。発生農場数は20を超えた。農水省は同日に対策本部を開き、江藤拓農相が「まさに今(発生の)トップシーズン。早期通報が最終的には被害の拡大を防ぐ一番の方法だ」と訴えた。 同病は今季、農場では過去最も早い10月17日に北海道で発生し、これまでに14道県の21事例で確認された。昨年12月29日には、約107万9000羽を飼養する茨城県内の農場で発生。今年に入っても既に愛知・岩手・鹿児島の3県で計5事例が確認されている。 同省によると、今季の発生農場の中には、通報が遅れた事例がある。7日の同省の対策本部では、早期通報の徹底をはじめ、20万羽以上飼養する大規模農場には、入気口フィルターの設置や周辺の水場対策など、環境に合った対策ができているか、再点検するよう生産現場に呼びかけることを確認。過去に発生した地域・農場での再点検も必要だとした。 殺処分対象羽数は今季はこれまでに約330万2000羽に上る。発生が過去最多だった2022年シーズンは、同時期で約904万5000羽に上り、鶏卵の供給減、価格上昇の一因となった。 足元の鶏卵相場は高値で推移するが、昨年の猛暑や産地の生産調整による減産の影響が大きい。鶏卵の建値となるJA全農たまごのM級基準値(東京)は、1月(7日時点)が前年比25%高の1キロ225円。現状、同病発生による相場への影響は出ていないとみられるが、「今後、発生が拡大すれば相場はさらに上がる」(流通業者)との声もある。 (森市優、廣田泉)