大麻の常用者がかかる奇妙な症候群が倍増、何度も入浴したがる人も、合法化が進む米国で
症状の緩和には投薬や温浴
米消化器病学会によると、CHSと診断するには、吐き気、嘔吐、腹痛を繰り返す期間が年に3回以上あること、それぞれの持続期間は1週間未満であること、1年以上にわたって週4日以上大麻を使用していたこと、そして少なくとも6カ月間使用をやめた後で症状が解消したことを基準とする。 「診断するには、大麻をやめて、症状が大麻のせいであったことを証明する必要があります」と、アンドリューズ氏は説明する。何カ月も大麻を我慢する必要があるため、診断を受けるのをためらってしまう常用者もいるという。 しかし、嘔吐が激しいと脱水症になる恐れがある。そんなときはすぐにでも医療処置を受ける必要がある。病院では、電解質を含む点滴を受け、薬を投与して嘔吐を止めることができる。 症状が出ている間、1日に何度も風呂に入ったりシャワーを浴びたりする人が多い。そうすると不快感が和らぐのだという。これは、体温調節に関わる脳の視床下部がCHSに関わっていることを示唆しているのではないかと、デソウザ氏は言う。 あまり知られていないが、トウガラシの辛味成分であるカプサイシンの軟膏を上腹部に塗ると、CHSの吐き気や嘔吐を抑えられるという報告もある。2020年6月22日付で医学誌「Academic Emergency Medicine」に発表された研究では、吐き気や嘔吐の症状があるCHS患者にカプサイシン軟膏(0.1%)を使用したところ、1時間以内に吐き気が大きく軽減したことが報告されている。 今のところ効果が示されている長期的な解決策は、大麻を断つことだけだ。しかし、いきなりやめると、今度は不安、いら立ち、怒り、不眠、うつ、食欲不振などの離脱症状を起こす恐れがある。 カウンセラーと相談しながら、アミトリプチリンなどの三環系抗うつ薬を使用すると、大麻を断つ助けになるだろうと、アングロ氏はアドバイスする。または、時間をかけて少しずつTHCの摂取量を減らしていくことだ。
文=Stacey Colino/訳=荒井ハンナ