なぜSF小説原作の映画はヒットが多い? SFジャンルの世界観、小説の“余白”が鍵に
■時代を問わず作品に触れあえる環境だからこそ「古い映画を観て、原作があるんだと気づいてもらえれば」
原作はドラマや映画が公開されたタイミングで読まれることが多い。しかし、これまで語り継がれてきた名作映画やその原作はきっかけがなければ楽しまれるタイミングはなかなか訪れない。そこで、今月から「映画から原作へ/原作から映画」をテーマに、U-NEXT とタッグを組んで、“映画原作コラボ”をスタートさせた。 コラボの始まりは、両社による会食の席だったという。 「U-NEXTの方とお話してすぐにコラボの案が生まれました。実は出版社としてはプロモーション期間外の映画のビジュアルを使うのは権利問題などがあってすごく難しいんです。今回ついに実現したので、感慨深さがありますね」(山口氏) 実際にコラボをスタートがはじまると、全国の書店から予想以上の反響があった。 「イベントフェア自体は年に4回行っているのですが、協力店舗は平均すると300~400店舗くらいなんです。今回は500店舗から協力していただけて、47都道府県コンプリートも達成できました。古典名作ってずっと書店に置いてあって作品としての魅力も高いのですが、きっかけがないとそこまで売れないものでもあります。映画ビジュアルが表紙になるというのが展開しやすいきっかけとして喜んでもらえました。書店員さんにも映画ファンの方が多いですから」(早川書房営業部 鈴木愛加氏) 早川書房が原作小説を出版していて、U-NEXTで配信がある作品は100タイトル以上。その中から名作と呼ばれるもの、さらにジャンルとしてのバラエティも考慮した上で選ばれたのが『2001年宇宙の旅』(アーサー・C・クラーク/映画『2001年宇宙の旅』)、『時計じかけのオレンジ』(アントニオ・バージェス/映画『時計じかけのオレンジ』)、『ゴッド・ファーザー (上・下)』(マリオ・ブーヅォ/映画『ゴッド・ファーザー』)、『スローターハウス5』(カート・ヴォネガット・ジュニア/映画『スローターハウス5』)、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(フィリップ・K・ディック/映画『ブレードランナー』)、『ジュラシック・パーク(上・下)』(マイケル・クライトン/映画『ジュラシック・パーク』)、『ファイト・クラブ[新版]』(チャック・パラニューク/映画『ファイトクラブ』)、『ノー・カントリー・フォー・オールドメン』(コーマック・マッカーシー/映画『ノーカントリー』)の10作品だ。 「サブスク時代になったことで若い世代が、今や映画や音楽も、時代を問わず聴いたり観たりしています。今回のコラボはそこがうまくマッチングできればU-NEXTさんで古い映画を観て、原作があるんだと気づいてもらえれば」(山口氏)