告発者の私的情報漏洩に対応鈍く 斎藤兵庫知事、削除依頼も告発もせず「第三者委で調査」
■スピード重視、刑事告訴のケースも
自治体が扱う個人情報の漏洩は後を絶たず、刑事事件に発展したケースもある。
堺市では平成27年、市内全有権者約68万人の氏名などの個人情報が流出した。男性職員が独自の選挙事務システムを構築するため、無断で情報を持ち帰り、自作したシステムを民間のレンタルサーバーに保存した際、誤って閲覧可能な状態となっていた。
市は発覚後、速やかに流出状況を調査し、ネット検索会社に情報の削除を依頼。専門業者にも調査を依頼し、SNSなどへの拡散は確認されなかった。
大阪府八尾市では昨年5月、市立斎場の利用者の個人情報を葬儀関連業者へ提供した見返りに現金を受け取ったとして、男性職員が加重収賄と地方公務員法違反の疑いで大阪府警に逮捕された。市は6月に男性を懲戒免職処分としたが、内部調査に加えて第三者による調査チームも設置。別の男性職員も現金を受け取っていたとして、9月に懲戒免職とした。
岩手県釜石市では令和3年度、職員による個人情報漏洩事案が発覚した。市は内部調査のほか、顧問弁護士や警察に相談した上で住民基本台帳法違反罪で告訴状を提出。職員2人を懲戒免職とするなどし、市長と副市長も給与を減額した。
市の担当者は「第三者委員会設置の話もあったが、漏洩事案でセキュリティー強化などが必要だったため、スピード感をもって対処できる態勢を重視した」としている。