誰もに優しい町づくりを ALS患者が街歩き発案 瀬戸内町
誰もが住みやすく、快適に移動できる地域を目指す「車いすで街歩き~一緒にやさしい町づくりを考えませんか?」(瀬戸内町やさしい町づくり検討委員会主催)が23日、鹿児島県瀬戸内町の古仁屋市街地一帯であった。車いす利用者や住民、役場職員ら15人が参加。参加者らは車いすで街を巡り、段差や傾斜など、日常に潜む危険箇所や課題について共有した。同企画の実施は初めて。 体が徐々に動かせなくなる難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者で同会の川井志津子会長(73)が発案。車いす利用者と健常者が同じ目線で街歩きすることで地域のバリアフリー化への理解を深めることを目的とする。 同町保健福祉課が車いす5台を用意し、春日公園を発着点に市街地約1・5キロを、車いすに乗る人、サポートする人とを交互に体験しながら点検。街路樹の根上がりによる舗装のひび割れや橋の勾配など、危険性が高い場所では立ち止まり、意見交換などが行われた。 古仁屋高校3年の生徒は「わずかな段差であっても、車いす利用者、支援する人、それぞれに負担があることを学んだ。道の修繕が必要な箇所もあり、少しずつでもいいので、住みやすい町になってほしい」と話した。 川井会長は「私の散歩コースを巡ってもらったが、道が悪く、乳母車のつまずきや高齢者の転倒という話も聞く。普段から感じていることを多くの人と共有し、誰もに優しく、安全安心な暮らしができる輪を広げていきたい」と訴えた。