3D技術の活用法学ぶ 筑波大・松井教授らが特別授業 古仁屋高校
鹿児島県瀬戸内町の県立古仁屋高校(米澤瑞代校長、生徒87人)で17日、全校生徒を対象としたデジタルワークショップ「三次元フェス」があった。筑波大学芸術系の松井敏也教授(55)や3次元(3D)ソフトの開発会社「エリジオン」の塩﨑祐之プロモーションプランニングマネージャー(46)らを講師に招き、3Dの仕組みやデータ測量、活用方法などについての知識を深めた。 同フェスは高大連携の教育活動の一環で、初めて実施。社会のデジタル化が進み、ICT(情報通信技術)スキルへの対応が求められる中、身近な素材からデジタル技術やデータ活用法を身に付けることで「情報活用能力」の向上を図るのが目的。 自然科学的手法を用いて文化財の保存修復に携わる松井教授は、保存現場での3D技術の活用方法を、瀬戸内町にある国指定史跡「奄美大島要塞(ようさい)跡」の3次元測量などの事例を交えて紹介。塩﨑マネージャーは3Dスキャナーの仕組みや物体を無数の点に置き換えて精密に記録する「点群データ」の応用などについて解説した。 生徒たちは実際に3Dスキャナーの計測を体験。3Dデータの可能性についても班に分かれてディスカッションし▽津波などの災害シミュレーション▽スポーツの動作分析▽惑星探査の発展―などのアイデアを発表した。3D計測のモデルを務めた生徒(16)は「点群データを見てかなり精巧で驚いた。データの実用化にはアイデアを膨らませることが技術発展の課題解決にもつながることを学んだ」と話した。 塩﨑マネージャーは「自分たちの身近にある文化財や歴史のあるものを大切にしながら技術を掛け合わせることで、新たな価値創造につなげてほしい」とアドバイス。松井教授は「技術は10年で一桁進む。皆さんが社会に出る頃には想像が現実のものとなっている時代かもしれない。自由な発想を持って、新しい技術、社会と関わってほしい」と総括した。