健康サプリを「毎月3万円」購入する80代の母。本人は「健康のため」と言いますが、解約させるべき?
高齢者をターゲットとして、高額な健康サプリなどの商品を定期的に購入させる悪質な販売方法による被害は、多数報告されています。 そのため、高額なサプリを定期購入している高齢の家族に対し「強制的に解約させるべきではないか」と不安になる方もいるでしょう。 本記事では、実際の被害金額などを基に、強制的な解約を考えるべき基準について検討します。
健康サプリの定期購入は解約を急ぐ必要はないが注意すべき
健康サプリなどの定期購入について、解約を急ぐ必要はありませんが、注意は必要です。 実際に「何種類もの健康食品や浄水器などの高額商品を購入契約し、気がついたら合計で数百万円もの出費になっていた」という事例もあります。 もちろん「高額商品の定期購入を勧められた」からといって、必ずしも詐欺であるとは限りません。また、本人が望んで購入しているのであれば、強制的な解約を急ぐ必要もないでしょう。 しかし「生活に支障が出るほど多額な出費になっている」など、危険な状態にある場合は気を付けた方がよいといえます。 以上のような被害に遭っているのは、高齢者であるケースが多いです。 そのため、身近な高齢者が高額商品を定期購入している場合は、被害が大きくなる前に声かけを行うなど、気を配っておく方がよいでしょう。
高齢者による消費生活相談の平均既支払額は約43万円
消費者庁の「令和5年版消費者白書」によると、2022年に寄せられた消費生活相談のうち、65歳以上の相談者の1件あたりの平均既支払額(商品を契約し、実際に払った金額)は約43万円です。また、65歳以上の相談者の1件あたりの平均契約購入金額(契約時の商品購入金額)は約74万円という結果が出ています。 毎月3万円の場合、約2年という長期間の定期購入を契約時に提示されている可能性が高いと考えられます。 以上の金額が65歳以上の高齢者にとってどの程度の負担になるのか、1ヶ月あたりの家計収支と比較して考えてみましょう。 65歳以上の高齢者の1ヶ月あたりの収入は、総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、夫婦のみの無職世帯で24万4580円、単身無職世帯で12万6905円となっています。 また、65歳以上の高齢者の1ヶ月あたりの消費支出は、同じく総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、夫婦のみの無職世帯で25万959円、単身無職世帯で14万5430円です。 収入と比較すると、すでに消費支出が収入を上回っていることが分かります。この消費支出に健康サプリ購入による毎月3万円の消費が加わると、生活に支障が出る可能性も高いといえます。世帯の状況によって、毎月無理なく支払える金額は異なるでしょう。 そのため「定期購入の費用が、1ヶ月あたりの生活費を圧迫していないこと」を基準としたうえで、「はっきりとした成果がみられない」というような場合は、解約を検討することが重要だといえます。