樋口恵子 近ごろ目立つ「老いてきょうだい仲の悪さ」。「きょうだい仲よくを味わってもらいたい」と思う親がすべき<つとめ>とは
厚生労働省が公表している「令和4年簡易生命表」によると日本の平均寿命は、男性が約81歳、女性は約87歳だそう。それもあって91歳で評論家として活躍している樋口恵子さんは、「これからはおばあさんだらけの時代になる!」と宣言中。その樋口さんいわく、「近ごろは老いてきょうだい仲の悪さが目立つ」そうで――。 【書影】時代のトップランナーとして走るヒグチさんの「ヨタヘロ」と「ときめき」の逸話の数々がここに!『91歳、ヨタヘロ怪走中!』 * * * * * * * ◆介護と相続で険悪に 昔から「きょうだいは他人の始まり」と言われますが、近ごろ老いてきょうだい仲の悪さが目立ちます。 「ふつうの仲」だったきょうだい仲が険悪になる理由は二つ。親の介護と相続問題です。 介護は、どうしてもそれまで同居していた人、近所に住んでいた子どもに負担が多くかかります。 地域の事情にもよりますが、昔のように「長男が責任者!」「長男の嫁が介護してあたりまえ」と決めつけるわけにはいきません。いろいろな例を見ていると、たしかに気の弱い子、親を振り切れない子がいわゆる「貧乏くじ」を引いていることがあります。
◆人生案内欄にて 私は日刊紙の人生案内欄で回答者を務めています。最近、親の一周忌を二人しかいないきょうだい一緒に出せそうもない、というご相談を受けました。 争いの種はやはり介護と相続。ご相談は二人姉妹の妹さんから。 お葬式は長女の家から出しました。妹の立場からみると、姉はお金にきびしく、老いた母にいろいろ請求したようです。妹が見かねて口を出したらきょうだい仲は険悪に。妹から見ると、相続も姉が勝手にことを運んだとしか思えません。 苦情を言ったら大げんか。一周忌も近いのになんの知らせもない。問い合わせていいものかどうかというご相談でした。 母上の死後、妹さんがついに爆発。口もきかない間柄になってしまったけれど、妹さんは何とか一周忌を機に仲を取り戻したい感じが伝わってきました。 同じ子どもでも「お葬式を出す側」はどうしても責任が重い。親の看取りでの姉の尽力にまず感謝し、一周忌をどうするか、お伺いを立てる手紙を出してみては? それでご返事が来なかったら、深追いせず、妹は自宅に写真など飾って故人を偲べばよいのではないか、と回答しました。 きょうだい仲は、親の年忌を別々に出すところまで険悪になっているようです。
【関連記事】
- 樋口恵子 残り少ない人生なのにみんな友達づきあいや親子関係に悩んでいて…人間関係の問題は<棚上げ方式>であの世にもっていこう
- 樋口恵子「高齢者ひとりでも大丈夫」と思いたいけれど、全然大丈夫じゃないと老いて実感。同居家族がいても「おひとり死」はありうることと心得るべし
- 樋口恵子 怪我に病気<不機嫌のタネ>ばかりの高齢期を上機嫌に生きるには…「楽しく」は難しくとも「楽しげに」なら誰でもできる
- 樋口恵子 ピンピンコロリが理想でも、現実はそう簡単にいかない…ドタリと倒れてから「さてどうやって生き延びるか」こそが大きな課題
- 樋口恵子 補聴器で医療控除が受けられず「老い」にはお金がかかると実感。心配してもしょうがない、老いが来たら「来た!」と思うしかない