頭がいい学生は「何となく」医学部を受験? マンガ「Dr.Eggs」の世界がリアルだと話題
実習で扱うのは、本物の骨やご遺体
――それぞれにドラマがありますね。『Dr.Eggs』の連載はいま、主人公の円くんが医学部3年生に進級したところです。ここまで入学後の2年間のカリキュラムが描かれていましたが、濃密な授業で驚きの連続でした。お二人は実際にはどんな授業が印象に残っていますか。 Kさん:最初に衝撃を受けたのは、骨学(こつがく)といって、体の基本構造ともいえる骨について学ぶ授業でした。実習で骨を正しく並べるという話は耳にしていたので、高校の理科室にある骨格標本のようなものをパズルみたいに組み合わせるのかと思っていました。ところが実習室で僕らを待っていたのは、立派な木箱に入った本物の骨で、授業は黙祷(もくとう)から始まりました。「これが医学部なんだ」と身の引き締まる思いがした最初の出来事でした。 三田先生:骨から学ぶというのも驚きですよね。しかも、どんなに小さな骨にも名前がついていて、機能とともに覚えないといけない。「骨と骨がカパッとはまる瞬間が何ともいえない」という話もKさんたちから聞いて、作品の中でも人体に興味がわいていくエピソードとして描きました。 Sさん:骨や細胞を細かくスケッチしなくてはいけないのが、僕にはつらかったです。「ここは美術部か!」と突っ込みたくなるくらい。まさか、医学部に入って絵を描かされるなんて……。 Kさん:スケッチした紙の厚みが(20cmくらいの幅に手を広げて)こんなになったよね(笑)。実習の先生によると、ちゃんと勉強して描いているのか、何となく描いているのかがわかるらしいんです。例えば、骨の小さな突起にも、筋肉がつくための役割があったりします。医学部生は「心の目」と呼んでいるのですが、そういった機能や構造を理解していれば、「ここに突起があるはず」と心の目で探して、スケッチにも描けるわけです。 三田先生:「描いて覚える」という意図もあるのでしょうね。医学って先進技術を取り入れつつ、アナログでも必要なところはきちんと踏襲しています。面白いですよね。