<ラグビー>新生ジャパンのフルモデルチェンジは成功するのか?
ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ率いるラグビー日本代表の最初のツアーが終わった。10月31日に本格始動したチームは、11月に国内外で4つのテストマッチを行った。 秩父宮での初陣はアルゼンチン代表に20―54で敗れたが、遠征先のジョージア代表戦では、スクラムに押し込まれながらも28―22で初白星、欧州6強の一角であるウェールズ代表には30―33と、あわや金星を記録するまでに肉薄したが、最後のフィジー代表戦は25―38で落とす。準備時間や環境整備の面で不安視されるなか、通算戦績を1勝3敗とした。 グラウンド内外で貫かれていたのはフルモデルチェンジへの姿勢だった。 現体制がようやくスタートしたのは、2015年のワールドカップイングランド大会を3勝で終えて約1年後のことだった。渦中、努めて「勝ちに行きます」と強調していたのは堀江翔太。イングランド大会時の副将で、今回の主将を任されていた。常々、「色んな選手の意見を引き出したい」と言っていた大らかな親分肌。ジョセフとは、チーム作りの考え方がシンクロしていたという。 振り返れば前任者のジョーンズは、早朝練習を含めた複数回のトレーニングや昼寝の時間まで1日のスケジュールを詳細にプログラミング。ディフェンスコーチだったリー・ジョーンズが「彼自身がハードにやる人ですが、スタッフにもハードさを求める」と話すなど、コーチングスタッフへも自らの目線で高い要求を出し続けた。 それに対してジョセフは、ボトムアップ型の組織を形成。自らが出す要求を乗り越えさせるより、各自すべき仕事を見つけて遂行するよう促すイメージか。 主将任命の際は堀江と立川理道の共同主将制を敷いた。ちなみに、直近まで指導していたスーパーラグビーのハイランダーズでも似た形でチームを運営していた。ベン・スミスとナシ・マヌが主将として、プレー中の連携手段などを全選手に涵養。その流れで、2015年度のスーパーラグビーを制していた。 コーチとしてチームに帯同した元日本代表フルバックの田邉淳は、ジョセフの哲学を「グラウンド内外での役割をしっかりと果たしていきましょう、というのが主旨かな」と見立てた。 「選手、マネジメント、コーチ。それぞれには、グラウンドのなか以外にも役割があるんじゃないか…。そういう感じで(チーム作りを)やりたい、という話は聞きました」