又吉直樹が来店し「勉強になりました」…1皿2000円台のスパイスカレー店が更なる高級化に挑む理由
「スパイスカレーを通して、“日本を良くしたい”と本気で思っているんですよね!」 そう壮大な夢を語り始めたのは、大阪市内の南森町・JR大阪天満宮駅の徒歩1分圏内にある『ココペリカレー』のオーナー兼シェフの岡野誠治氏だ。 【画像】あぁ、よだれが……星野源、矢井田瞳も舌鼓を打ったスパイスカレー 岡野氏は’11年、東北大震災を転機に、友人と経営していたネット会社を畳み、『0から1』を創造したいと考え、地元の代々続く畑を借りた。無農薬栽培を実践しつつ、両親の育てた柑橘をネットで売る仕事を始めたところ、初年度から売れ行きは良好だったとか。 「その手ごたえを掴みながらも、’13年ごろに大阪でスパイスカレーが流行っているコトを雑誌で知り、食べ歩きを始めました。約2年後の’15年に南船場にて、友人のバーで間借りでカレーを販売、売れ行きは上々でした。翌’16年からこの店舗で始め、現在に至る感じです」 ◆星野源、矢井田瞳もお忍びで訪れた お客さんはお店に入ると、開口一番「こちらをまず、ご覧になってください」と、タブレットを手渡される。 そこには、ココペリカレーのメニューの説明に関する動画が約1分30秒ほど収められており、まず、それを見てドリンクを注文。次に、続きの3分間の動画を見て、カレーを注文する流れだ。カレーの種類や注文の仕方を、過去にTVで放映された動画を編集し、オーナー自ら出演し、説明している。 「正味、カレーの原価が高くなり過ぎて、人を雇えないのです。恥ずかしながら、1人で店舗を回してますので、複数のお客様がいた場合、お客様にカレーの説明をしていると、手が止まりますし、待機中のお客様にカレーを提供する時間を遅延させたくないため、動画を作成しました」 さて席に着き、メニューに目を通し、驚いたのはその価格設定である。ドリンクとセットの価格ではあるが、カレー3種盛りが2200円~なのである。 一般的にスパイスカレーのランチの相場は、1200~1700円位だが、ドリンク付きではあっても2200~3100円。かなり強気な値段設定だ。なぜ、ココペリカレーは、こんなに値段設定が高いのか。 「恐らく、ウチのカレーのルーの原価は日本一だと思います。当店の原価とプロセス(工程)を知ってもらえたら、“全然高くない。寧ろ、安い!”ってビックリするのではないでしょうか? “普段から自身が食べない食材をお客様には提供しない”という、美しさをベースに追求した結果、価格が上がっていきました。ココペリカレーが実際に使用し、お客様にオススメしている食材は通常の1.5~3倍の値段のもの。カレー界の中では、高額な食材を厳選しています」 具体的にどれぐらい高価なのだろうか。 「一例をあげますと、2023年時点で1リットルあたり、1500円の油を使用しているカレー店は、日本中どこを探してもないハズです。おそらく95%の飲食店はキャノーラ油かサラダ油でしょうから、1リットルあたり400円ぐらい。従って、油だけで1000円以上は高価です。 もちろん、油だけではなく、水や塩や調味料やダシもこだわってますから、当店のカレーを食べ終わった後、お客様の舌はザラつきませんし、胃もたれ、胸焼けもさせない、という矜持があります」 上記のような理由、店主のカレーに懸ける想いやこだわりを来店したお客さんと共感できるよう、文章も作成したようだ。読破するのに30分はかかる膨大な文量のため、読むかどうかは、お客さん次第! 「著名人の方もお忍びでよく食べに来てくださいます。星野源さん、又吉直樹さん、矢井田瞳さんとか。又吉さんは文章を30分ほどかけて熟読され『全部読みましたよ。勉強になりました』と微笑んでくれました」