米ボルティモアの橋が崩落、貨物船衝突-マースクのチャーター船
(ブルームバーグ): 米ボルティモアの連絡橋にコンテナ船が衝突し、橋が崩落した。デンマークの海運大手APモラー・マースクは、チャーターした船が事故を引き起こしたと明らかにした。
ボルティモアの消防当局責任者は、現場で2人が救助されたと説明。そのうち1人は重傷だという。当局は水中に落下したとみられる最大7人を捜索しているが、救助された2人がこの数に含まれるのかどうかは明らかでない。
ビデオ映像によると、コンテナ船は橋に衝突する直前にほぼ全ての照明が消えていた。メリーランド州運輸当局責任者は現地時間26日午前7時半ごろの記者会見で、停電が事故原因だと断定するのは尚早だと述べた。
この事故は海上と陸上の交通を大混乱に陥れる公算が大きい。商船はこの連絡橋「フランシス・スコット・キー・ブリッジ」を通過し、全米で最も混雑する港の一つであるボルティモア港に入港する。連絡橋はまた、ボルティモアを取り囲むように走る主要環状道路にもつながっていた。
衝突したコンテナ船はシンガポール船籍の「ダリ」で、2015年に建造された。マースクは同社がチャーターし、船舶管理サービス会社シナジー・マリンが運航していたと電子メールで説明。シナジーのロンドン広報担当者は、3万2000トンのダリは当時、4900個前後のコンテナを積んでいたと明らかにした。
この発表を受けて、マースクの株価は急落。一時7.6%安となった。
メリーランド州のムーア知事は非常事態を宣言。ホワイトハウスも事態を見守っていると政府当局者が明らかにし、故意の事故である兆しはないと付け加えた。
ボルティモア港は貨物取り扱いの量と金額で全米最大級で、自動車と軽商用車は米国でトップ。崩落した橋の西側には少なくとも21隻の船がおり、橋の通過が容易に可能なのか疑問が生じる。このうちほぼ半数はえい航船で少なくとも3隻がばら積み貨物船、1隻は自動車運搬船で、小型タンカーも1隻ある。