ヘルシーで調理もラクラク!今年売り上げが倍増している「中華せいろ」
【あの食トレンドを深掘り!】日々生まれている食のトレンド。なぜブームになったのか、その理由を考えたことはありますか? 作家・生活史研究家の阿古真理さんに、その裏側を独自の視点で語っていただきました。 ◇ ◇ ◇
金属製の蒸し器か中華せいろ、どちらを買うべき?
昭和生まれの私は、蒸し器を使う家庭で育った。主な蒸し料理といえば茶碗蒸し。ひな祭りなどの行事や来客時に、母は煮含めたしいたけ、鶏もも肉、銀杏、ゆり根、かまぼこをひとかけずつ専用容器のふたつき茶碗に入れて卵液を注ぎ、三つ葉を飾って茶碗蒸しを作った。私がお菓子作りにハマった10代のときのレパートリーに、プリンもあった。家にはガスオーブンもあったが、使うのは蒸し器。なぜなら、蒸し器なら15分で加熱が終わるのに、オーブンだと天板に水を入れてプリン液入り容器を載せ、こぼさずオーブンに入れるていねいさが必要で、加熱時間に50分もかかるからだ。 しかし、今は私もそうだが、茶碗蒸しを作らない家庭が増えた。蒸し器を持たない人も多い。私は野菜を蒸すなど便利で使うが、金属製の蒸し器は数年から10年でダメにしてしまう。3回目の買い替えを検討していた今年の春、食いしん坊仲間に「おすすめの蒸し器」を聞いたところ、「せいろで十分。家にある鍋に載せればいいから場所も取らない」と教わり、時間ができた夏にかっぱ橋で中華せいろと蒸し板も買って使ってみた。とりあえずカボチャとカブ。次は枝豆。 中華せいろにしてよかったのは、まず場所塞ぎでないこと。3回目の買い替えに悩んでいたのは、使いやすそうな金属製蒸し器がどれも巨大に見えたからだった。また、中華せいろを使ってみると、湯気から木の香りが漂い癒される。そのまま食卓に出せるので、食材を移し替えなくてもよい。前は食材を一つ一つトングで取り出していたので、これは便利と思った。 調べてみると、金属製の蒸し器は穴空きの皿に接する部分が高温になりやすく、食材が焦げたり硬くなる場合があるそうだ。冷めると水っぽくなる、とするサイトもある。