「寿命を決める臓器」である一方、ダメージを負ってもほとんど症状が現れない「腎臓」の機能低下を示す兆候5つ
■「縁の下の力持ち」意外にスゴい腎臓の“底力” 生きていくために必要不可欠な腎臓の働きのひとつが、「ホメオスタシス(生体恒常性)」を保つということです。少し言葉が難しいですが、簡単に言うと、環境に左右されずに体内を一定に保つしくみです。 私たちが生活している環境はつねに一定ではありません。雨が降ったり、暑くなったり、寒くなったり、ジメジメしたり、乾燥したりと、刻々と変わっていきます。 そして、その変化に左右されることなく体の内部がいつも一定に保たれていなくては私たちは生きていくことはできませんよね。たとえば、暑さや寒さなどに影響されて体温が激しく変動したら、体は機能停止状態に陥ってしまいます。このホメオスタシスを維持するうえで、とくに重要な働きをする臓器が腎臓です。
具体的には、がぶがぶと大量に水を飲んだときには尿を増やし、逆に飲めない状況に陥ったときには尿を減らすといった調整を行っているのです。 また血管、細胞、神経、筋肉などの機能の調整に欠かせない、体液に含まれている電解質(ナトリウムイオンやカリウムイオンなど)にも目を光らせて、体にとって不必要なぶんは尿として排泄し、必要なぶんは体に戻しています。こうして、体液はちょうどよい量と濃度になるように調整されているのです。
もしも腎臓がなくなったら、体の中はゴミだらけになるだけではなく、ホメオスタシスも維持できなくなって、脳や心臓などの全身の臓器が本来の機能を果たせなくなってしまいます。これが、「腎臓が寿命を決める」といわれている所以なのです。 そんな腎臓はとても複雑な構造をしています。順番にひとつずつみていきましょう。 心臓から送り込まれた血液は、毛細血管(細い血管)の塊でできている「糸球体」という場所で、必要な赤血球やタンパク質などと、不必要なゴミなどとにふるい分けされます。ゴミなどを含んだ水分(原尿)を受け止めているのが、「ボウマン嚢」です。