77歳のクラシックギタリスト、被災地復興支援のコンサート350回…「これからもできる限り続けたい」
滋賀県高島市のクラシックギタリスト・谷本正夫さん(77)が、東日本大震災と能登半島地震の被災地の復興を支援するコンサートを開いて収益金を現地に贈る取り組みを続けている。11月30日には高島市内で今年18回目のコンサートを開催。12月はさらに2回を予定している。 谷本さんは、2011年の東日本大震災の発生後、東北に住む友人たちに物資を届けるため被災地入り。倒壊した建物などを目の当たりにして、「演奏活動で集めたお金を被災地に届けよう」と、同年から県内外で復興支援コンサートを始めた。今年1月の能登半島地震では、石川県輪島市での大規模火災の光景に、1995年の阪神大震災での神戸市長田区の被害の記憶が重なったといい、同月のコンサートから、能登半島地震の復興支援も加えた。
支援先を探るため今春以降、石川県内などの被災地へ。火災で大きな被害が出た輪島市の朝市通り一帯も訪れたが、「本当に現実なのかと思え、足が動かなかった」と振り返る。 被災地で演奏するのはおこがましいと感じ、「被災地以外で演奏し、預かったお金を届ける」ことにこだわっている。11年からこれまでに開いた復興支援コンサートは、約350回にのぼる。演奏に集中するため、昨年からは生徒をとるのをやめ、練習に余念がない。コンサートの収益金は、年に2回ほどそれぞれの被災地を訪れて支援先に渡しており、被災地の復興の様子も撮影し、コンサートで現状などを来場者に伝えている。
現在の支援先は、自然環境保全などに取り組んでいるNPO法人「森は海の恋人」(宮城県気仙沼市)と、建物が被災した日本基督教団輪島教会(石川県輪島市)。今年7月には上半期分として6万3000円ずつを届けた。谷本さんは「被災地の復興のためにも、風化させてはいけない」といい、「復興支援コンサートは、これからもできる限り続けたい」と語る。 谷本さんは今月、2回の復興支援コンサートを開いた後、下半期分の収益金を届けるため、23日からそれぞれの被災地に向かう。