牛ふん活用した大規模発電所 岡山県笠岡市で本格稼働
岡山県笠岡市の畜産農家らが主導するバイオガス発電所が18日、本格稼働した。牛ふんが発酵する過程で生じるメタンガスで発電し、中国電力に売電する。残ったふんは液体と固体に分離。液体は液肥として飼料用トウモロコシや牧草の畑に還元。固体はおがくずと混ぜて牛舎の敷料にする耕畜連携を描く。牛ふん利用のバイオガス発電所としては、北海道以外では国内最大規模という。 酪農や肥育農家7戸と、大阪市の太陽光発電事業を手がける三和電気土木工事などで構成する、かぶとバイオマスプラント有限責任事業組合が運営を担う。「かぶとバイオファーム発電所」と名付け、同市で1万頭近くが飼養される干拓地に建設。組合員が持ち込む牛ふんは無償で引き取る。牛ふんの臭気対策や、副資材を使い処分していた牛ふんの処理コスト低減を目指す。 年間で約4300頭分の牛ふんを受け入れる。発電出力は1427キロワットで、一般家庭約3500世帯分に相当する発電を見込む。総事業費は約55億円。固定価格買取制度(FIT)を活用し、売電収入は年間で約4億8000万円を見込む。 発電の過程で発生する液肥は、粗飼料の自給率向上へ酪農家が組織する干拓コントラに供給する。二期作の飼料用トウモロコシなど約300ヘクタールの農地に施用する予定だ。 同事業組合の組合長で、約2500頭の乳牛を飼養する希望園の山本真五さん(50)は「畜産農家のコスト低減と臭気対策を追求する取り組みだ。持続可能なものにしていきたい」と意気込む。
日本農業新聞