「分身ロボット」代わりに教室に 対面授業、なじめない学生支援 長崎女子短大が実証実験
対面での授業になじめずに学校から足が遠のいてしまう学生を支援しようと、代わりに教室にいる「分身ロボット」の導入を、長崎女子短大(長崎市)が計画している。自宅などからリモートで授業を聴くだけでなく、手元のスマホを操作すれば、ロボットが手を挙げたりうなずいたり拍手をしたりする。一方通行になりがちな従来型のオンライン授業に比べて、分身が反応することで、本人と教員や他の学生のコミュニケーションが取りやすい。来年度の導入をめざし、実証実験を進めている。 同短大によると、新型コロナ禍の間にリモートでのやりとりが増えたことなどを背景に、教員や他の学生と直接顔を合わせる授業に不安を抱えた学生が散見される。出席できず、休学や退学するケースもある。 そうした困難を抱えた学生を支えるため、橋本剛学長が着目したのが、東京のテクノロジー会社「オリィ研究所」が開発した「OriHime(オリヒメ)」。障害や病気のために外出が難しい人の代わりに、遠隔操作で職場などさまざまな場所に出る分身ロボットだ。 高さは約20センチ、操作はスマホのアプリを使う。カメラとマイク、スピーカーを備え、双方向でやりとりができる。パソコンなどのモニターを通したやりとりと比べて、人間型でリアクションができることから、本人がその場にいるような存在感がある。自力では移動できないが、周囲の学生がオリヒメを抱えて教室間を運ぶことでもつながりが深まることを期待している。 本年度後半は、学生サポーターの協力を得て、全ての教室で安定的に作動するかどうかなどを実証実験で確かめる。来年度から希望者の相談を踏まえて導入を予定。分身を通して出席することで徐々に対面授業に慣れていくことを目指す。橋本学長は「一時的に授業に来られなくても、学びをやめない、やめなくていい短大を目指したい」と話している。