乗り継ぎスムーズ、スイス「列車ダイヤの秘密」 日本とどこが違う?鉄道もバスも運行間隔揃えて待ち時間を短縮
こうした取り組みは1つの都市圏とその周辺といった一部のエリアでのみ適用されそうだが、タクト・ファールプランは「全国的な規模」で行われている。都市と地方の間の移動の促進、そして地方に住んでいても容易に大都市へアクセスできる機会を与えている。 ■国民投票でプロジェクト推進 タクト・ファールプランの概念は1982年、スイス連邦鉄道(SBB)が導入した。このシステムの目的は、列車の運行を規則的な間隔で設定することにより、乗り換えの効率を改善し、利便性を向上させることにあった。
その後1990年代に入り、スイスではプロジェクト名「Bahn 2000」の名の下に、鉄道網の拡充と近代化が進められた。これにより、国内の鉄道サービスをさらに最適化し、より頻繁で速達性の高いサービスをスイス全域に提供することを目指した。 「Bahn 2000」プロジェクトの推進にあたっては、1998年に行われた国民投票での承認が大きな後押しとなっている。この投票によって、鉄道インフラの大規模な拡張と改善を求める取り組みへの支持が決まり、プロジェクトの資金調達と実施が確実なものとなった。つまり、タクト・ファールプランを含めたスイスの公共交通システムの拡充が大きく進歩したというわけだ。
ただ、通勤・退勤時間帯と日中の閑散期や週末では需要が大きく異なる。時間帯に関係なく一定のダイヤでは輸送力が過剰だったり、不足したりしないのだろうか。そこで、平日のピーク時と週末の昼間との輸送の様子を見てみることにした。 例えば、チューリッヒとその郊外とを結ぶ列車のケースだ。ここでは電気機関車1両と客車3両を1組とした編成の列車が走っているが、これが週末には1組だけで運行する一方、平日のピーク時には3~4組(最大16両)を連ねて走る。ダイヤは変わらないものの、車両数の増減で輸送力を調節しているわけだ。時間帯によって、プラットホームの特定の場所にしか列車が停まらないといった問題はあるが、需要と供給のバランスを取りながら「資源の最適化」を図る姿勢は特筆できよう。