歌う動画で女性を励ましたアフガンの17歳に「国際子ども平和賞」
オランダに本拠を置く児童権利擁護団体「キッズライツ財団」は19日、子どもの権利を守ることに貢献した若者に贈られる今年の「国際子ども平和賞」をアフガニスタンのニラ・イブラヒミさん(17)に授与したと発表した。イスラム主義勢力タリバンが支配するアフガニスタンで、歌を歌う姿を通して少女らを励まし続けた活動が評価された。世界47カ国165人の候補者のなかから選ばれた。 【写真】アフガニスタン西部で、児童婚や夫からの暴力被害について語る少女=2024年6月下旬、石原孝撮影 ニラさんが運営する女性支援プラットフォーム「Her Story」によると、アフガニスタンでは2021年3月、教育当局が12歳以上の女性が公共の場で歌うことを禁止した。当時14歳だったニラさんはこの措置に抗議することを決意し、少女たちが学校で教育を受けることを奨励する歌を歌う自身の姿を動画に撮ってSNSに投稿した。この動画は世界的な反響を呼び、禁止令は撤回された。 だが、この年の8月にタリバンが復権してアフガニスタン全土を掌握。女性への抑圧が強まり、ニラさん一家も標的になった。支援団体の助けを借りてカナダに脱出したが、ニラさんはカナダでもアフガニスタン女性を支援する「Her Story」を立ち上げて活動を続けている。 キッズライツ財団によると、ニラさんは受賞について「アフガニスタンの女性と少女たちの声が世界中に響き渡ることを意味する。最も暗い時代に彼女たちに力と希望を与え続けなければならない」と話した。 同賞は2005年に創設され、後にノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身のマララ・ユスフザイさんや、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんも受賞。22年には、若者の声を政策決定に反映させるために政治家と連絡がとれるオンラインのプラットフォームを作った、川崎レナさんが受賞している。(藤原伸雄)
朝日新聞社