年金7万円の賃貸で一人暮らしの80代母、老人ホームに入所させたいが貯金がない…安い「特養」に入りやすくなる“裏ワザ”とは?注意点とともに解説
介護付き有料老人ホーム(民間)と特養(公的)のサービスの差
ここでは、厳密性を欠くことを承知で、超ビギナー向きにわかりやすく説明するため、多くの方が「とても高額で入居できない」と感じている「民間」が運営する施設、 1.介護付き有料老人ホーム 2.住宅型有料老人ホーム 3.サービス付き高齢者住宅 などをあえて「有料老人ホーム」とくくり、「有老」と表現します(法律的な意味合いとは違いますのでご了承ください)。それに対し、比較的利用料は低額だが、人気がありすぎてなかなか入れない施設の代表格を「特別養護老人ホーム」とし、「特養」と表現します。 下記表にて、そのサービスにおける特徴の差をみていきましょう。 高齢者が多すぎる現代において特養は、ヘルパーを使った在宅サービスや家族介護がどうしても続けられないぐらい介護の頻度が多く、お世話が困難になった方を受け入れるための、最後の砦です。 たとえば、夜中に4回トイレに起きてしまうシニアの方がいたとして、家族がそれに毎回付き合っていたとします。しかし、「特養に入ればスタッフが家族のようにその代わりをしてくれる」というものではありません。 むしろ逆で、自宅では排泄を自分でできていたとしても、特養や老健では排泄はオムツにしてもらうのが通常となります。それが、安全で限られた人材で提供できるプロの仕事なのです。またそもそも、昔の特養ではユニットケアといって個室がほとんどなく、病院のように相部屋でした。最近は人権尊重の立場から、厚労省は特養にもトイレの付いた個室を増やそうとしています。 一方「有老」であれば、基本個室です。自分の部屋にトイレがついていて、夜間、周りを気にせずに「自分でトイレに行きやすい自由」が得られます。しかし先ほどのように夜中転倒リスクがある方には、やはり排泄はオムツにしてもらうのが通常となります。家族介護と施設介護は基本がまったく違ってくるのです。 有老と特養のこの大きな差は、有老であればまさに民間の企業としてサービスの差やコンセプトの明確さで生き残りをかけているのに対し、特養は経営的に潰れる心配がない代わりに介護機能の「最後の砦」として社会的責任を負っていることではないかと筆者は考えています。民間サービスとしての「有老」が「ラグジュアリー重視」「医療重視」「コスパ重視」などの特徴を際立させているのに対し、公的サービス代表の「特養」はそれどころでないのでしょう。 また、特養や認知症グループホームをたとえ社会福祉法人が運営しているとしても、法人であるため、行政運営というわけではなく、運営者の倫理や法人の理念が組織に大きく反映されます。サービスにおいて、「介護付き有料老人ホーム=民間」「特養=公的」だから差があるのではなく、どんな組織もその運営者の熱い思いが施設のカラーとなっているのです。そのことを踏まえて施設を見学し、住み心地を見定めてください。 理事長や施設長、職員が書いているブログのホームページなど見て、どんなことを大切にしているのか調べることで、見学の時の雰囲気と合わせて大切にしている理念を知ることができます。さらに施設を見学したあと、体験入居すれば住み心地は一目瞭然です。