医師が解説 「子どもが最近イライラしてる…」悩む親が考えたい、意外な原因
おもに、肉や魚に含まれているのがヘム鉄で、野菜や穀物に含まれているのが非ヘム鉄です。ヘム鉄は非ヘム鉄に比べて吸収率が4~5倍高いとされ、タンパク質が補給できることを考えても、動物性食品を食べることでのヘム鉄の摂取をおすすめします。
お悩み【2】「子どものお腹の調子が良くないことが多い」 →乳酸菌とビタミンDが足りないかも
ひんぱんにお腹が痛くなったり、下痢や便秘を繰り返したり、というお子さんはたくさんいます。お腹の調子が悪いことが当たり前になっていて、よほどひどくない限り大人に伝えないため、お子さんのこのような不調を知らない親御さんは案外多いように思います。これはとても問題です。 このような症状が、腸内環境の乱れから起こっているのは簡単にわかりますよね。腸内の環境が悪くなって炎症が起こると、水分を吸収する機能がうまくはたらかず、下痢をしたり、その反対に便が硬くなったりします。腸内環境は腸内細菌の善玉菌が整えていて、その代表的なものが乳酸菌です。乳酸菌をしっかり摂ることは大事ですが、注意点もあります。 乳酸菌と聞くとすぐに乳製品を思い浮かべると思いますが、リーキーガット症候群を引き起こすカゼインを含んでいるという難点があるのです。植物由来のヨーグルトという選択肢もおすすめですし、乳酸菌が豊富な食品が他にもたくさんあります。日本には、みそやこうじなど、乳酸菌を含む伝統的な発酵食品が身近に数多くあります。ぜひ、そういった食材を積極的に取り入れて、腸内環境を整えていきたいものです。 慢性的な症状ではなく、テストが近づいたり、遠足や運動会の前になったりすると、ひんぱんにお腹が痛くなって下痢をしてしまう。朝からお腹が痛くて学校に行けない、といった経験をお持ちのお子さんも多いでしょう。このような状態を過敏性腸症候群といいま すが、これもまた腸内環境の乱れから起こります。 うーん、それはメンタルの問題では? と思いますよね。そのとおり、まさにメンタルの問題なのですが、イコール腸内環境の問題でもあるのです。最近、「腸脳相関」という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。これは、脳(=メンタル)と腸(腸内環境)が関わり合っているということなのです。 というのも、セロトニンやオキシトシンといった幸せホルモンは、腸で造られていることがわかってきました。腸内環境が乱れていると幸せホルモンを造る過程に問題が起きてしまい、うまく造り出せなくなってしまうのです。 腸の状態は心の安定と密接に関わっているのですね。ストレスに負けないためにも、腸内環境を整えることでメンタルホルモンを増やすことは、とても大事です。 もう一つ考えられるのは、ビタミンDの不足です。というのは、ビタミンDには、腸粘膜のバリア機能を強化するはたらきがあるからです。ビタミンDも積極的に摂るようにしましょう。 本文は『え、うちの子って、栄養失調だったの? その不調は食事で改善します!』(みらいパブリッシング)より一部抜粋・編集しています。 メイン画像提供:Adobe Stock