性別騒動の台湾ボクサーに“Xポーズ”「なぜこんなことをしたのか」敗者の行為に会場は騒然【パリ五輪事件簿】
パリ五輪では今大会、競技以外でもさまざまな問題が取り沙汰された。女子ボクシングでは、66キロ級のイマネ・ケリフ(アルジェリア)と57キロ級のリン・ユーチン(台湾)が、“性別騒動”で渦中の人となった。 【画像】エアコンなしの質素なデザイン? パリ五輪選手村の全容をチェック 57キロ級準決勝でリン・ユーチンと対戦したトルコのユルドゥズカフラマンは判定負けとなったが、試合後の行動が物議を醸した。 ユルドゥズカフラマンは敗れたあと、そのままコーナー付近に移動しロープに腰をかけ、リン・ユーチンが退場できるように空間をつくって健闘を称え合った。が、その後、リング上に戻ると指を交差させて「X」の文字を作り四方に披露したのだ。 その瞬間、1万8000人の観客で埋まった会場は騒然となった。リン・ユーチンは、昨年にIBA(国際ボクシング協会)が主催した世界選手権で実施された性別適格性検査で一般的に男性が持つ「XY」染色体が検出されたとして失格処分となっている。一般的に女性が持つのは「XX」染色体であり、トルコ人選手が示した「X」は、それを示唆するかのような侮辱行為だったとも捉えられた。 準々決勝でもリン・ユーチンに敗れた相手が同じパフォーマンスをリング上で披露しており、波紋が広がった。ユルドゥズカフラマンはこの行為に関して試合後「ノーコメント」とし、「決勝に進めなかったのが残念」と悔しさをにじませた。 五輪で繰り返された侮辱的とも受け取られる行為は海外メディアも注目した。米紙『New York Post』は「リン・ユーチンの勝利の瞬間を台無しにした」と指摘し、英紙『Daily Mail』も「ユルドゥズカフラマンは先にリングロープを広げ、ユーティンに敬意を表しているように見えた。なぜこんなことをしたのか」と、Xポーズを断じていた。 一方、リン・ユーチンは、台湾のニュースサイト『Focus Taiwan』などで「彼女は敬意を持って結果を受け入れていたと信じている。そうじゃなきゃ、あそこでロープに座ろうとしない」とコメント。さらに「彼女は素晴らしい試合を見せてくれた」と振り返り、相手の侮辱行為については意に介さなかった。 そんなメンタルの強さも発揮し、リン・ユーチンは決勝でポーランドのユリア・シェレメタを5-0の判定勝ちで破り、ボクシング競技で男女通じて初の金メダルを台湾にもたらした。セレモニーで感極まったメダリストは、「トップアスリートとして、試合に集中し続けることが極めて重要だったんです。対戦相手が誰なのか、そして次の試合に向けてどのように準備すればよいのか。それを考えるだけで私は精一杯でした」(台湾メディア『Focus』より)と極度のプレッシャーの中で戦った苦しい胸の内を打ち明けていた。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]
【関連記事】
- 「私はIOCから招待された」性別騒動の台湾女子ボクサーが金メダル 漏れた涙の理由も激白「色んな苦労が一気に」【パリ五輪】
- 金メダルに涙 “性別騒動”で渦中の女子ボクサーが“誹謗中傷”の非道さを訴え「攻撃は本当に酷かった。いじめはやめて」【パリ五輪】
- 敵が“男”と揶揄も闘志消えず…世界的論争を招いた性別騒動の女子ボクサーの金メダルを米紙が激賞「歴史に名を刻んだ」【パリ五輪】
- 「トイレに行くと『え?そっちでいいの?』と」性別騒動に揺れた台湾女子ボクサーが仰天エピソードを告白【パリ五輪】
- 「腹が立つこともある」性別騒動に揺れた台湾女子ボクサーが誹謗中傷に持論 そして“潔白”も語る「馬鹿馬鹿しい」【パリ五輪】