手書きとタイピング、本当に効率がいいのはどっち?デジタル時代に最適な「メモの取り方」
電子書籍や動画、音声コンテンツなど、スマホを使えば時間と場所を選ばずにインプットができる時代に私たちは生きています。 便利になる一方で、情報を理解して自分で咀嚼するためには、ひと手間の工夫も欠かせません。そこで「メモを取る」というプロセスが必要になってきます。 今回は、今だからこそ活用すべき効果的なメモのとり方について考えます。
写真やスクショで残せるのに、メモを取るべき理由
これまでメモは出来事を記録したり、要約する役割を担ってきました。 しかし、デジタルツールの普及により、スクリーンショットや録音・録画など、もっと簡単かつ手軽に記録ができるように。加えて、それらデジタルデータであれば、何度でも見直すことも可能です。 また要約に関しても、ChatGPTといった強力なツールが登場しました。果たして、このような時代に、あえてメモをとる必要はあるのでしょうか? スタンフォード・オンラインハイスクール校長の星友啓さんの著書『脳を活かすスマホ術 スタンフォード哲学博士が教える知的活用法』(朝日新書)では、メモをとることの重要性を以下のように述べています。 メモやノートを取ることは、記録を残しておくこと以上に、学んだ内容をいったん頭に入れて脳を動かすという働きです。 このポジティブな作用は、効果的なインプットには欠かすことができません。 「スクショ」や「GPT要約」が習慣になってしまうと、ついついメモやノートを取らなくなってしまい、そのせいで脳のゴールデンタイムを自ら手放してしまいかねないのです。 (『脳を活かすスマホ術 スタンフォード哲学博士が教える知的活用法』より) スクショやChatGPTに頼り切ってしまうと、インプットの時間がただのタスクに終わってしまう可能性があります。だからこそ、学んだことを自分の頭で考えて咀嚼するために「メモ」が必要なのです。
手書きとデジタルを使い分けるのがコツ
では現代において、メモはどのように取るのがいいのでしょう? 昔ながらにノートにペンで手書き? それともPCやスマホにタイピング、フリック入力? どちらの方が効率がいいのか、気になりますよね。星さんによれば、答えは「ケースバイケース」だそうです。 まず、「読むインプット」の時は手書きが効果的だと言われています。読んでいる時には、自分で読む速度を変えられる。 読みながら、同時にメモを取る人はあまりいませんよね。そこで、読むことをいったん止めて、それからメモを書くわけですが、この時に読んだ内容を脳で咀嚼することができるわけです。 (『脳を活かすスマホ術 スタンフォード哲学博士が教える知的活用法 』より) 本などのテキスト情報の良いところは、自分のペースで読み進められること。理解が追いつかなければ前のページに戻って確認することもできます。 そんな「読むインプット」では、自分のスピードで理解を深められる手書きのメモが効果的とのこと。 手書きメモのメリット:「読むインプット」が効果的になる では、タイピングやフリック入力が適しているのはどのような場面なのでしょうか。 一方、授業やプレゼンなどで人の話を聞いている時には、タイピングが効果的です。 もちろん、タイピング慣れしていることが前提ですが、パソコンやタブレットでタイピングをする方が、手書きよりも断然速くメモを取ることができます。 だいたい平均で2~3倍くらいの速さの違いがあると言われています。 (『脳を活かすスマホ術 スタンフォード哲学博士が教える知的活用法 』より) 読書と違って、講義やセミナーの場合は、聞くインプットが中心。講師の話すスピードに合わせてメモをとらなければなりません。その際、手書きだとどうしても時間がかかってしまいます。メモを一生懸命に取るあまり、大事なことを聞き逃してしまう可能性も。 なので、スピードの面で有利なデジタルメモの方が向いているわけです。 また、保存と検索が容易という点でも、デジタルメモにはメリットがあります。紙のノートだと、どんどん量が増えていきますし、過去の記録を探すのに時間もかかってしまいます。 デジタルメモのメリット:速くメモができる、保存検索が簡単 これらを踏まえて、自分のペースで学ぶ時は手書きで、セミナーや講座ではスマホやPCにテキストで記録するなど、メモのとり方を使い分けると良いでしょう。