「そういう志が良くないですよね」ソフトバンク山川穂高が15年近くバットを大きく変えないわけ「そもそも論外」〝失敗〟も経験し
ソフトバンクの山川穂高内野手(33)が6日、大阪市内でミズノブランドアンバサダーミーティングに参加した。同社の担当者と来季使用の用具について確認。「いい成績を残し続けられるのも職人さんの技術あって。こっちから要望するのはあんまりないです」とこれまでと変わらぬ相棒たちを携え、来季を戦う。 ■達筆すぎる…山川がしたためた「達治」【写真】 移籍初年度の今季は2冠王にこそ輝いたが、一時期は大不振に苦しみ「タンスの引き出しいっぱい使って、そもそもちげえ(違う)みたいなっていうぐらいの感覚の変化を起こした」と振り返るほどの変革をうながした1年となった。ただ、それは技術面などの話。用具には一切手を付けなかった。山川はきっぱり言い切る。 「それ(用具をシーズン中に変えること)は僕の中で失敗する例なので。元に戻れなくなっちゃうので。絶対にもう、そもそも論外です」 失敗は西武時代の2020、21年に経験した。20年は19年から打率を5分近く落とし、本塁打も43本塁打から24本に減少。21年も24本に終わるなど2年とも苦しんだ時期だ。わずか数試合だがバットを変えてみたことがあった。「そこに頼らざるを得ない自分の迷いが原因ですよ。迷ってる、揺らいでるから、人のバットをチャレンジしてみたりとか。そういう志が良くないですよね」。バット変更に光明を見いださざるを得なくなっている自分の弱さを改めた。 現在使用しているバットは20年から変わっていない。前回の変更もグリップ部分をタイカップ型から変更したのみで、木製バットを使い始めた富士大時代からヘッド部分など15年近くほとんど変わっていない。22年オフには先端をくりぬいたバットを試したが1カ月ほどで元に戻した。そんな山川が持論として示したのはホームランバッターとしての誇りだった。 「ホームランバッターはやっぱあんまりバット変えない方が僕はいいと思う。信念みたいなものというか、貫かないとホームランって打てないので。ちゃんと打つためには一つのことをできるだけ貫いて、こだわりを持ってやった方がいいとは思います」 4度の本塁打王に導いたバットについて「今使ってる形がやっぱ一番自分に合うんだろうな、と」と変わらぬ信頼を寄せる。強い信頼で結ばれた一本を手に、これからも幾多のアーチをかけていく。(鬼塚淳乃介) 【#OTTOホークス情報】
西日本新聞社