苦境に陥る時はきっと来る…侍Jから今も求められる最年長31歳・源田の経験値 焦る若侍に「勝ち続ける執念を」
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って・侍ジャパン編 ◇16日 「ラグザス presents 第3回 プレミア12」1次リーグB組 日本3―1台湾(台湾・台北ドーム) 甘い142キロをとらえた打球が、台北ドームの右翼フェンスを越えていった。 「とにかく次の1点がほしい場面で、最高の結果になってよかったです」。声を弾ませたのは源田だ。4回の貴重な追加点。侍ジャパンでは初めての本塁打に「チームにとっても自分にとっても大きな1本」と喜んだ。 2017年のアジアプロ野球チャンピオンシップで初めて代表に選出された名手は、最年長の31歳になった。チームは国際大会22連勝だが、源田は18勝に関わっている。つまり最後の敗戦(19年の米国戦)を知る唯一の現役侍である。東京五輪で金メダル、昨春のWBCでも世界一。すでに侍としての頂点は極めた。だから源田に聞いた。「辞退は考えなかったんですか?」と。 「気が付けば僕ひとりですね。でも求められれば力になりたい。それが僕のスタンスです。そこにためらいや迷いはなかったですよ」 侍に必要なのは、能力はもちろんだが代表への情熱とリスクを負う覚悟だと思う。源田はどちらも持っている。それが証明されたのがWBCでの右手小指骨折。彼は離脱することなくたった2試合休んだだけで試合に戻ってきた。 本塁打を打った。好守でも支えた。だが、源田を選んだ価値は、この先にある気がする。源田の18連勝。だけどともに逆転サヨナラ勝ちした東京五輪のドミニカ共和国戦や、WBC準決勝のメキシコ戦など、何度も薄氷を踏んでいる。国際大会は甘くない。苦境に陥る時はきっとくる。焦る若侍。その時に頼りになるのが、源田の経験値だと思う。 「僕がスタメンで出るようになったのはWBCあたりからですけど、みんなに何かを聞かれたら答えられるようにはしていたい。どんな形でも勝つ。勝ち続ける執念。そりゃいいことも悪いこともあります。でも、それも含めての経験じゃないですかね」 優勝まであと6試合。源田が今も侍ジャパンから求められる理由は、堅守だけではない。
中日スポーツ