固定担任制やめた中学校 半年を経て教員の働き方は変わったか
テレQ(TVQ九州放送)
福岡市の城西中学校では今年度からクラスごとに担任を配置する従来の仕組みをやめて「学年チーム制」と呼ばれる仕組みに挑戦しています。導入から半年、現状と課題を取材しました。 福岡市城南区の城西中学校。 「担任はいないですね。5人ぐらい担任がいます。室先生、林先生、清水先生、 池田先生、白石先生5人」 城西中では今年度から一般的な固定担任制を廃止し学年チーム制を導入。2年生の場合、3クラスを5人の教員が担当しています。これまでの担任の役割をするのは MTと呼ばれる「メインティーチャー」でその他はSTと略される「サブティーチャー」。1週間ごとにMTを交代しています。 生徒 「チーム担任制になって話したことない先生との交流もできていいなみたいな」 一方でこんな声も・・・ 「体育大会で優勝してもすぐに他のクラスに先生がいっちゃうのでそんなにいっしょにやったーとなれない」 運動会と並ぶ学校のビッグイベント、「合唱コンクール」は学年チーム制のもとどのように実施されるのでしょうか。 合唱コンクール1週間前。 この週の2年5組のメインティーチャーは林さんです。昼休み、練習する生徒たちをMTの林さんが見守っています。 林さんは教員になって今年で2年目。去年との違いをこのように話します。 林さん 「去年は初めて合唱コンクールを見るという形でしたが今年は他の先生のやり方を間近で見られるのは大きいと思います」 生徒からはこんな声も。 生徒 「一人の先生がずっと成長を見てくれるというのがなくなったのはちょっと寂しいなというのはある」 去年までの合唱コンクールとは違って生徒が主体となりクラスをまとめていく必要があります。そこが「学年チーム制」の狙いのひとつです。 迎えた本番。2年5組が見事、金賞を受賞しました。 林さん 「給食はSTで5組にそのま ま入ろうかなと思います」 林さん、この日はST・サブティーチャーです。受け持つクラスで給食を食べるメインティーチャーと違ってSTは食べる場所を選べます。林さんは金賞を受賞した5組で給食をとることにしました。 生徒 「合唱コンはもう余裕っすよね。金賞」 林さん 「もう金賞とったやん」 練習をまとめた生徒 「みんなが頑張ってくれなかったら絶対に金賞は取れなかったと思うので本当にありがとうございました」 少し成長した生徒たち。 一方で林さんは生徒との関わり方に手応えはあったのでしょうか。 林先生 「生徒のやり方に入り込みすぎずというところで去年とは関わり方は大きく違う。そこをメインとしているシステムだと思う」 生徒 「去年は先生の指示でみんな動いていたけれど今年はチーム担任制になって先生がいない中みんなの力で優勝したことが良かった」 この学年チーム制を導入した西田校長。生徒主体の合唱コンクールを次のように評価します。 校長 「以前は担任力であの先生のところは金賞取るよねみたなところがあったが子どもたちの力でやっているので(どのクラスも)同じくらい頑張っていたような気がする」 一方で課題も見えてきたといいます。 校長 「どれくらいの距離感で子どもたちと離れていたらいいのか、ここは手出し口出し していいのかなと我々もまだ迷いがあるように思う。適度な距離感で子どもたちを支えていけたらいいなと思っています」 生徒に主体性が芽生えるなどメリットが多い「学年チーム制」ですが導入していない小中学校の教員はこの状況をどのように見ているのでしょうか 番組では座談会を実施しました。 小学校教員 「ぼくは昨年度から教務主任という立場で学校全体の世話をしている。うちの学年の先生は若い先生が夜残ったら一緒に教材研究をしてくれるし、夕方から保護者に電話したらずっとそばで聞き取りをしてくれてうんうんとうなずいてくれるしやっぱ若い先生が踏みとどまってくれるのは、やっぱり学年の先生方のおかげかなと 思っています」 若い教員に過度な負担をかけないためにも学年チーム制には一定の意義があると捉える一方で3人の教員が共通して懸念するのは・・・ 小学校教員 「一番怖いのは共倒れですよね」 「怖いですね。地獄ですね」 教員たちが懸念する共倒れとは・・・。 中学校教員 「初任の先生にとってはとても心強いだろうなと思いますけれど、やはり一部の先生に負担が来るのが容易に想像ができる」 小学校教員 「僕去年折れかけたんですよ。チーム担任制じゃないですけど管理職から言われた。若い先生のサポートのために他のクラスの教科に入ってくれと。本当に好きで入った世界で担任を何年もやって自信もある程度やっぱりあった。ミドル世代というか中堅に押しかかってくる仕事の責任の重さは大きい。今ここで倒れてしまっては若い先生がたおれてしまってはもう学校現場崩壊」 「子どもと向き合う時間がほしいだけ。人が増えて仕事を分担するのが一番いい」
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