<ライブレポート>TOMORROW X TOGETHER、念願の東京ドームで4大ドームツアー開幕「今日のことは一生忘れません」新たな約束も
TOMORROW X TOGETHERが自身初、そしてK-POPアーティスト史上最速となる日本4大ドームツアー【TOMORROW X TOGETHER WORLD TOUR <ACT : PROMISE> IN JAPAN】を7月10日の東京ドーム公演からスタートさせた。 その他の画像 今年デビュー5周年を迎え、7月4日には日本4thシングル『誓い(CHIKAI)』をリリースしたTOMORROW X TOGETHERは、残念ながら“グループ一のムードメーカー”のBEOMGYUが足の怪我で踊ることができず一部のみ出演という状況ではあったものの、歌唱はもちろんトークでも普段のムードを作り出すことで5人の団結力を見せつけた(おんぶしたり、彼が腰かけるイスをそのまま持ち上げたりして、他メンバーは喜んでBEOMGYUの足になった)。 東京ドームのライブといえば、外野側に大きなスクリーンとメインステージを組み、グラウンド中央に設置されたセンターステージに出演者が“移動”するのが恒例だ。しかし、TXTの今回のライブは、従来のセンターステージをメインにして、スクリーンに映る映像が奥行きを作る工夫がなされていた。四方に伸びる中央ステージは見方によってはXもしくは最新ミニアルバム『minisode 3: TOMORROW』のジャケットに書かれた星のようにも見える。 また、日本ならではの演出であるトロッコも大型ライブを盛り上げる重要なポイントだが、彼らが使用したトロッコは汽車そのもの。あそこまで作りこまれたトロッコを見たのは初めてだ。ペアリングしたペンライトの光が細かく色分けされたり、大きな文字を作ったりして、ドーム空間全体をデザインしていたのも非常に印象的だった。 ライブは『minisode 3: TOMORROW』で描かれる、物心つく前から一緒にいた“君”の存在を忘れてしまった少年が、“君”と交わした約束を思い出し、“君”を探しに行くストーリーで展開。YEONJUNが王冠をかぶり、明日を意味するモールス信号が流れると、物語の核を担う「Deja vu」の日本語バージョンで幕を開けた。グループ代表曲「9と4分の3番線で君を待つ (Run Away) [Japanese Ver.]」「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. 幾田りら [Japanese Ver.]」を経て、「Devil by the Window」で悪魔の手に落ちた5人は異世界に迷い込む。笛や太鼓、弦楽器による真新しいアレンジに韓服、扇、水墨画などアジアを意識した「Sugar Rush Ride」と「Farewell, Neverland」のステージから一転、夢から覚めた少年が暮らす現代の世界で「Chasing That Feeling」「Magic」が展開していく。ステップやジャンプのひとつひとつが大きく、シンプルな動作にさえ出せる個性と高いダンススキルに脱帽した。 「LO$ER=LO▽ER」(※▽はハートマーク)をマイクスタンドとシャウトでロックに決めたあとは、XVIIと書かれた汽車に乗りこんでMOA(ファンの名称)たちに接近。HUENINGKAIが楽曲制作に参加した「きっとずっと (Kitto Zutto)」、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴が書き下ろした「Force」とポップな日本語ナンバーを届けていく。“癒し系の愛されリーダー” SOOBINがBEOMGYUを背負ってステージに戻り、そこに3人が駆け寄るシーンには言葉では表せない感情が込み上げた。 MOAの喜ぶ姿を間近で見た5人はすっかり緊張もほぐれて、序盤で見せたクールで完璧なTXTから少しずつ素の彼らに近づいていく。BEOMGYUとTAEHYUNとHUENINGKAIがクォーターライフクライシス(25歳前後~30代に漠然とした不安や焦りを抱える時期)をテーマにしたユニット曲「Quarter Life」で共感を集めたあと、“君”が侵食し、「僕を飼い慣らして」という衝撃ワードとともに始まったSOOBINとYEONJUNの兄ペアによる「The Killa (I Belong to You)」はアフロビートに合わせてセクシーに踊る2人のシンクロとコントラストを味わう時間に。トレンディなラテンビートの「Back For More」「Tinnitus (Wanna be a rock)」の2曲は、髪のすき間から覗く5人の熱い視線や指先、ウェイブに目が離せなかった。 ここからはハードモード全開のステージに。ロックナンバーに生まれ変わった「PUMA」からの「Good Boy Gone Bad」では、まさにいい子の化けの皮が剥がれたかのように隠れていた“君”が大爆発。YEONJUNがバットでドラムセットをぶち壊すシーンから始まった「Growing Pain」はFワードまで飛び出して、TAEHYUNのシャウトやSOOBINが髪を振り乱してヘッドバンギングする姿、HUENINGKAIのギタープレイ(最後は手荒く投げる)に大歓声があがった。反骨精神溢れるこの3曲のパフォーマンスはこの日のハイライトと言っても異論はないはずだ(特にYEONJUNの魅力が一際輝いた瞬間だと感じたのは筆者だけではないだろう)。 夢追い人になることを星に誓う「Dreamer」、紐を使ったダンスが美しい「ひとつの誓い (We’ll Never Change)」は5人の歌声と表現力が遺憾なく発揮される時間に。甘いハイトーンボイスが魅力的な前者に対し、後者は音色に合わせて紐を弦のようにはじいたり、体全体を使ってしなやかなに踊ったりして、絶妙な優美を生んだ。 夢の舞台に立つというPROMISE(約束)を果たしたTOMORROW X TOGETHER。TAEHYUNは「初めてのドームツアーが今日から始まりました。正直、久しぶりにMOAに会える機会で少し緊張していたんです。明日も来る方いますか? 今日のように明日も幸せな思い出を作りましょう。僕と約束! 愛してる!」、YEONJUNは「このような夢の舞台に立たせてくれてありがとうございます。今日はMOAから幸せな夢をもらったので、今夜は僕がMOAの夢の中に行きます。夢で会おう。大好きです!」と、ふたりとも日本語で感謝を伝えた。 前日のリハーサルからもどかしい思いをしていたというBEOMGYUは「思ったよりもなかなか治らなくて……東京ドームで踊ることができなくてすごく残念です。でも4人が5人以上のエネルギーを作ってくれて感謝しています。早くよくなって次は素敵なステージを見せるので少しだけ待っていてください。イスが要らない少年になって戻ってきます」と宣言。HUENINGKAIは「東京ドームは練習生時代から夢見ていた舞台で、ここはアーティストなら誰もが立ちたいと思う場所です。MOAが持っているペンライトがキラキラ輝く光景を見たらグッときて涙が出そうでした。それくらい美しかったんです。今日一緒にステージに立ってくれたBEOMGYUさんにも感謝しています」とこの日を振り返り、日本語で「月が綺麗ですね」と告白をして、会場を沸かせた。 SOOBINは「10年以上、夢見ていた場所です。夢を叶えてくれたMOAの皆さん、本当にありがとうございます。MOAには幸せな時間だけを与えたかったのでたくさん準備したんです。今日のことは一生忘れません。次回は5人全員が元気な姿で戻ってこられるよう、応援お願いします」と喜びと感動を噛みしめた。BEOMGYUは悔し涙、SOOBINは感極まって嬉し涙を流したのだが、ほか3人は片時も離れず寄り添っていた。 「今日も明日もずっと一緒にいよう」という永遠の約束を交わしたTXTとMOA。ダブルアンコールの「紫陽花のような恋 (Hydrangea Love)」は撮影OKというとびきり嬉しいプレゼントまで用意し、汽車に乗ってゆっくりと時間をかけながら隅々まで挨拶していく。約3時間におよぶ記念すべきドームツアー初日は大団円を迎えた。TOMORROW X TOGETHERはこのあと、7月27日と28日に大阪、8月4日と5日に愛知、そして9月14日と15日に福岡でドーム公演を行う。 Text by Mariko Ikitake (P)&(C) BIGHIT MUSIC ◎公演情報 【TOMORROW X TOGETHER WORLD TOUR <ACT : PROMISE> IN JAPAN】 2024年7月10日(水)東京・東京ドーム 2024年7月11日(木)東京・東京ドーム 2024年7月27日(土)大阪・京セラドーム大阪 2024年7月28日(日)大阪・京セラドーム大阪 2024年8月4日(日)愛知・バンテリンドーム ナゴヤ 2024年8月5日(月)愛知・バンテリンドーム ナゴヤ 2024年9月14日(土)福岡・福岡PayPayドーム 2024年9月15日(日)福岡・福岡PayPayドーム