かのヘップバーンも映画で乗った! アウトビアンキの「ビアンキーナ」がどこを切り取っても可愛すぎて悶絶必至
バリエーションも超豊富!
1960年代に入ると、ビアンキーナは数々の派生モデルを展開し始めました。まずは、トラスフォルマビレの特徴的だったBピラーを廃した「カブリオレ」。これこそオードリーが軽やかに転がしていたモデルで、ソフトトップを完全に収納できるスタイルへと進化を遂げていたのです。 とはいえ、499ccエンジンやシャシーの変更は一切なし。フルオープン以外のトピックスはスーサイドドアが一般的な前ヒンジに変わったことくらいでしょうか。 1962年にはノッチバックを持った2ドアモデル「ベルリーナ」が登場。これまた500のバリエーション展開を追いかけるものでしたが、フェイスリフトのたびにエンジンチューンが進化して17.5馬力から21馬力までパワーアップを遂げています。 また、モデル末期にはテコ入れなのか在庫セールなのかトラスフォルマビレ同様「スペシャル」と名付けられたモデルをリリース。ベルリーナ・スペシャルD(4000台)とスペシャルF(5000台)の2タイプが用意されるなど、アウトビアンキはわりと商売上手といえるかもしれませんね。 さらには「パノラマ」を名乗るモデルも追加されています。なにやら見晴らしのよさそうな車名ですが、2ドアワゴンがこう呼ばれていたにすぎません。イタリア生まれのコンパクトカーが辿るモデル変遷のお手本のような流れですが、なんと16万台を売りさばくというヒットぶり! これに気をよくしたのか、アウトビアンキは「パノラマ・サンルーフ」というお約束の布製ルーフを装備したモデルも追加。生産台数は詳らかにされていませんが、ちょっとリッチな商売人にはおおいにウケたに違いありません。 商売といえば、1965年には「フルゴンチーノ」と名付けられた商用バンも追加されています。荷室部分のガラスウィンドウを廃し、パネルに変更するなどしていますが、ビアンキーナから引き継いだ小洒落たライトやウインカーレンズはそのまんま。ミニ・カントリーマンのよきライバルたりえたのかもしれませんね。 また、1970年からはフルゴンチーノをハイルーフというか、より大きな荷台を追加装備した「フルゴネット」へと進化(ジャルディニエッラ)。こうなると、ビアンキーナの面影はフェイスまわりに残すのみであり、後ろから見たら商用バンにしか見えません(笑)。それでもアウトビアンキの屋台骨を1977年まで支えたモデルであり、遠く離れたアフリカあたりではいまだにブイブイと働いている模様。 とにかくバリエ豊富なビアンキーナゆえ、イタリア国内のオーナーズクラブは現在でも活況を呈しており、噂によればあらゆるパーツが新品で手に入るとか。ヌオーヴァ500も楽しいクルマですが、それを上手に取り込んだビアンキーナもまた「古くて、小っちゃい」イタリア車好きにはたまらない1台といえるのではないでしょうか。
石橋 寛
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