レクサスLM 詳細データテスト 後席は快適至極 不足気味のパワートレインとシャシー 静粛性に盲点
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
■インフォテインメント 全車に一般的なフロントのセンターディスプレイのほか、後席用画面を加えた2面のタッチディスプレイコンソールを備えるLM。7座仕様では、天井から吊り下がる形式の14インチで、コンソールには各種デバイス接続用のHDMIポートが1口設置される。4座仕様の場合は、48インチワイド画面が、ほぼバルクヘッド幅いっぱいに広がる。 ここにはパソコンやスマートフォンからMiracastを介してワイヤレスでのメディアストリーミングが可能だ。また、2口あるHDMIポートに有線接続して、同時2画面表示をすることもできる。純正搭載のTVyaメディアストリーミング、オンラインゲームん選択肢は、ちょっと不足気味で、インストールのタイミングを逸したようにも思えて残念だ。 レクサス的には、LMを走るデジタルモニュメントではなく、デジタルワールドを忘れるリラックス空間にしたいらしい。もっとデジタルエンタテインメントとコネクトするか否か、選択はオーナーにお任せします、というわけだ。 ■燈火類 アダプティブハイビーム付きのLEDヘッドライトは標準装備。ハイビームはパワフルで、減光のレベルもよくできている。ただし、自動ハイビームの反応はやや遅い。 ■ステアリングとペダル ペダルは高いシートポジションから踏み下ろすかたちだが、レイアウトは上々。大きな靴でも踏み誤らないくらいの間隔もある。ステアリングコラム調整は、上下/前後とも十分。
操舵/安定性 ★★★★★☆☆☆☆☆
LMの全高やホイールベースの長さ、ドライバーがそのロングホイールベースの前方寄りに座らされていること、それらすべてがハンドリングに影響している。 率直に言って、いや言うまでもないかもしれないが、これはオーナードライバー向けの高級車ではない。非常に高い着座位置で操縦系に取り囲まれる感覚は、サルーンばかりかSUVとも異なる。しかもこの背の高さと重さを、控えめなタイヤと狭いトレッドで支えるのだ。笑ってしまうくらい、同等サイズのバンに乗っているような気分になる。 乗り心地に、求められるべき洗練性の高さがあることはこのあと触れるが、ハンドリングに一体感や楽しさはまず望めない。活発さが望めないゆったりしたステアリングやスローなシャシーレスポンス、そしてほぼ見られないアジリティ。ドライビングしがいのあるクルマたりえない。 サスペンションのスプリングのソフトさは、ラウンドアバウトや速度域の高いコーナーで顔を出すが、ロールに関しては、高い運転席であらゆる傾きを感じるのに対し、後席ではそこまで気にならない。もちろんサルーンよりロールは大きいが、コーナリング中のグリップとスタビリティはそれによって損なわれることもなく、深刻な問題になることはない。 いずれにせよ、前席と後席、どちらに乗るべきクルマなのかは明らかだが。