<センバツ>星稜・奥川「制球ミス気にせず、球威で」 履正社打線を手玉に
◇第91回選抜高校野球 ○星稜3-0履正社●(23日・甲子園) 今大会ナンバーワン右腕の力を見せつけた。星稜の奥川は初戦の緊張から球が上ずったが、その高めの直球で強打の履正社打線を手玉にとった。 一回、先頭の桃谷への4球目に自己最速を1キロ更新する151キロをマークするなど直球の球威は抜群だったが、高めに浮いてばかりだった。それでも、ファウルばかりで前に飛ばせない相手打線を見て「直球で押せている。どんどん腕を振っていこう」と判断。本来は制球力が武器だが、多少の制球ミスは気にせずに球威で押していくことを決めた。 この姿勢が奏功したのが1点リードの三回2死二塁のピンチ。履正社は奥川対策として低めの変化球に手を出さないようにしていたが、桃谷は「1打席目に見た直球の残像があった」といい、速球に対応するためにスイングの始動が早くなった。その分、ボールの見極めが早くなり、外角低めのスライダーに手を出して空振り三振。奥川は「押すところは押す、引くところは引くという投球ができた」と頬を緩めた。 被安打3、毎回の17奪三振の完封劇にも「勝って力が抜けるのはあってはいけない」と喜びも控えめ。昨夏の甲子園レギュラーが5人残り、石川勢初の全国制覇を目指す星稜が前々回準優勝校を降して好発進した。【石川裕士】