【RISE】白鳥大珠×植草歩が対談:空手、日本を代表として戦うこと、コンディショニング、SNSの活用など大いに語り合う「しっかりチャンスを取ってそのビジュをみんなに見せつけてください!」(植草)
■ピークを持ってくる“ピーキング”っていうのが大事(植草)
――植草さんもそういった中でキャリアを積んできたと思いますが、今の時代で複雑なのはやはりSNSで自分のことを色々と書かれる事だと思います。そこはどういう風に対処してきたんですか? 植草 あー、自分そこは図太くて(笑)。例えば筋トレの動画をあげたら「お前筋トレばっかりしてるから負けんだよ」って書かれても「お前何も知らねえだろ?」って思うんで。あとは髪の毛染めたりネイルしたっていうのが見えた時に「そんな事してるから負けんだよ。ネイルしてる暇があるなら練習しろ」って書かれても「ネイルなんて1,2時間あったらできるし、何を考えているんだお前は」って思うんです。だからやってはいないんですけど、そういうのにも全部“いいね”して「ざまあ」って思えるくらいの気持ちでいます(笑)。「植草落ちてきたな」とか言われても「あなたに何が分かるの?」って思えるから、自分はそういうところが図太いなって感じます。 自分はきゃりーぱみゅぱみゅに似てるって言われて売り出されたので、それも「私似てねえし」って思うけど、それを表で言う言わないって絶対違うし、勝手に言っておけよって私は思えます。でもやっぱり(プロは)興行スポーツじゃないですか。自分たちはアマチュアスポーツなので、なんとか選手権で勝つことが大切になってくるので、ピークを持っていきやすいんです。“プレミアリーグ”っていうランキングの試合があるんですけど、そこでの勝敗って年に5,6回大会があるので、3大会優勝したら素晴らしいなと思うので、それぐらいに考えているんですけど。やっぱり世界選手権やアジア選手権、日本選手権で優勝したらいいので、そこに自分の心を持っていけばいいから、そこでの勝敗にも一喜一憂しなかったっていうのはあります。だけどプロの場合は毎大会で勝つことが評価になってすごく大切になってくるから、そこの標準のピークを持ってくる“ピーキング”っていうのが大事ですよね。 白鳥 そういう時はありますね。 植草 それと減量があってパンプアップしたくてもできない時期もあるし、そこがプロとアマチュアの違いで感情のコントロールも難しいのかなと思う反面、自分で抑える事もできるんですよね。自分はそれができなかったので、大会がコンスタントに続くので世界選手権の連覇がかかって負けた時は、この世の終わりくらいの勢いで落ち込みました。負けることが自分は生きている価値がないと思ってしまった人間だったので、だから当時はガラスのハートだったのかなと思います。先ほど白鳥選手が「競技から離れた」と仰っていましたけど、自分も怖くて離れられて1週間でそれ以上は離れられなかったです。スキルが落ちることもそうだし、間合い感とか筋力や体力が落ちることの全てが怖くて、ちゃんと競技から離れることができなかったので、そこも弱さなのかなと自分は思います。 ――休むことが弱さに繋がっちゃうと考えていたんですね。 植草 そう思っていました。でも休むことも大事じゃないですか。30歳過ぎてからでも全然競技を続けられますよね? だからここからまた脂が乗ってくるじゃないですけど、もっと違う白鳥君になると思うので、そうなるためにも上手く自分でコントロールするのと、周りに良いスタッフがいる中で頑張ってもらえたらなと思います。 ――白鳥選手は負けて落ち込む事はあると思いますけど、今の話のようにメンタルが完全に崩れてしまうという事はありますか? 白鳥 負けた時は試合が終わって数日は何をしても楽しくないし、生きている実感がないというか『ぼーっ』としちゃう期間が数日あるんですけど、だから色々と考えちゃうじゃないですか。「あの時あれをしてこれをしてれば」って。そうやってすごく考え込むともっと落ちていってしまうので、僕は1回離れたんですよ。もう2ヶ月くらいジムにも行かなかったですし何もしなかったです。友達と遊んだりしていて、練習の復帰も何も考えていなくて、そしたら自分の中でリフレッシュできていました。 それで練習を再開したのがジムのみんなで1週間くらい行ったタイだったんですけど、他の選手は合宿って感じでやっている中、自分は遊び感覚で練習してタイを満喫しながらやっていたら「あ、やっぱり楽しいな」って思えるようになってきて。ミット打ちしかしていないし、すぐ疲れちゃうけど「やっぱりこれだな。楽しいな」って思うようになって、そこから練習を再開してその後のYA-MAN戦に至るんですけど。あの時も8月にタイに行ったので準備期間も2ヶ月間しかなかったんですけど、自分の中でメンタルの切り替えになる事がないと、もしかしたらそこで辞めちゃってる可能性もあったのかなとか思ったりもしますし、だから“嫌だな”って思ったら1回自分は離れるんですよね。その時は2ヶ月近くだったんですけど、1ヶ月にしろ数週間にしろ1回考えない時期を置いたりしますね。 植草 それができることは強いですね。私は休む勇気がなかったので。今思うと近道のように見えて遠回りした方が、ちゃんと目標達成とか到着したいところにも行けたりするし、モチベーションが乗らなかったらいくら良いトレーニングをしても中身が伴わないんだろうなと思います。1,2ヶ月休むっていうのはすごく遠回りをしているように見えるけど、その時間で人生経験もするだろうし良いレストにもなるだろうし、考える時間っていうのがたかが1週間では無理なんだろうなって今は思います。 ――そう思えていることを、今は日体大柏高校の空手部の皆さんに伝えたり教える事ができているわけですね。 植草 できてるのかな…。でも練習多いと思うんだよな(笑)。その時のストイックな自分が残っているから、超記憶を作ってあげきれないというか。空手の良い所でもあり悪い所でもあるんですけど、大会が多いんですよ。この12月末はオープン大会なんですけど2大会あって、高校生は場数を踏むべきだと思うし、緊張感だったり他県の選手と試合するのとかもすごく大切な事なので、そう思い込んでしまうんですよね。だからそこも自分のダメな部分だなとか思ってしまうんですよね。 白鳥 でもそれが将来活きてくるんじゃないですか。自分も高校生の時は何時間も行ってましたから、それがあって今になって効率が悪いなとか思う事はあるんですけど。だからこそ当時はがむしゃらにやる時期も大切で、自分はそういう時期があったからこそ色々分かる部分があるので、絶対必要だと思います。 植草 そう言ってもらえると嬉しいです。
【関連記事】
- 【RISE/GLORY】賞金10万ドル争奪-65kg世界最強決定トーナメントの組み合わせ決定。1回戦で原口健飛vs.トリンダーデ、白鳥大珠vs.ペットパノムルン激突!
- 【RISE/GLORY】原口健飛が1回戦でGLORY世界1位トリンダーデを指名、白鳥大珠はペットパノムルンかチャド・コリンズ戦を希望
- 【ONE】武尊、もしロッタンが計量を「例えオーバーしたとしても僕はやります。減点なしで。グローブもそのままで」
- 【修斗】石原夜叉坊が浪速で約3年振り国内復帰戦、3連勝中の轟轟とフェザー級で対戦=12月29日(日)大阪
- 【K-1】平本軍入りに“待った”がかかった大久保琉唯「今の世の中、やりたいことをやりたいと言わないと進まない」RIZIN大晦日参戦を改めて希望