「パフォーマンスが悪いのは痛みのせい」スポーツの低年齢化で競技人口が増える今「大事にすべき子どものケア」
── 整形外科は、痛いときやケガをしたときなど何か症状がある場合に受診するものと思っていました。 岡野医師:競技によって痛める箇所は違うのですが、症状の出やすさは、オーバーワーク、つまり使いすぎてしまうことによるものと、外傷(ケガ)によるものとに分けられます。いずれの場合も、痛みやケガ予防のためのストレッチは必須なので、その子にあったメニューで取り組んでいただけたらと思います。トレーナーがいるところもありますが、部活やクラブなどではなかなか難しいかと思います。
体のなかで硬い部分や動きが悪い部分を診てもらって、それが上半身なのか、下半身なのか、体幹なのかなど、具体的にケアの方法を相談するのがいいと思います。整形外科でもスポーツ専門を謳っているところがいいですね。
■「痛みのせいにして逃げる」思春期特有の注意点 ── うまく子どものサポートをする必要があるんですね。 岡野医師:運動をしているお子さんの体に痛みが出てしまった場合に、親御さんに知っていただきたいのは、お子さんが「痛みに逃げてしまう」ケースです。具体的には、調子がいいときには多少の痛みがあっても頑張れるけれど、調子が悪いときには、「パフォーマンスが悪いのは痛いから」となってしまうことです。
中高生くらいの患者さんと接していると、自分がうまくできないことを痛みのせいにして、逃げてしまう子が多いなと感じています。そう思ってしまうと、復帰するのもどんどん難しくなってきますし、思春期の時期に、本人に伝えて納得してもらうのも難しいです。親御さんには、そういうこともあると理解したうえで、お子さんと向き合っていただきたいです。 ── なかなか子どもが自分を冷静に見つめ直すことは難しそうですね。 岡野医師:スポーツの場合は、ケガやオーバーワークだけではなくメンタルがパフォーマンスに現れてくることも多いです。プロの選手でも、メンタルトレーナーをつけている方がいらっしゃいますよね。