中央線グリーン車があれば要らない? 「都内だけの短距離特急」廃止へ もう見向きもされないと思いきや…!
グリーン車タダで乗れるし、もう見向きもされないのでは?
筆者は利用状況を確認すべく、2024年12月27日に東京を18時30分に出発する「おうめ」1号の普通車指定席で終点の青梅へ向かいました。56.0km離れているためチケットレス指定券ならば920円ですが、記念に切符を発券したため1020円しました。 乗車する前はこう想像していました。始発駅のためラッシュ時間帯でも列に並べば快速電車などに着席できるチャンスが大きく、2024年10月から順次運転を始めているグリーン車を連結した編成が「お試し期間」でグリーン料金なしで利用できるため「始発の東京駅では『おうめ』はほとんど見向きをされないのではないか」と。 ところが、ふたを開けてみると想定外の結果でした。「おうめ」の進行方向の先頭車両は4分の1弱の座席が埋まって発車しました。通勤客に加え、冬休み期間のため廃止前に乗車する鉄道ファンがいたことも乗車率を押し上げていました。 次の停車駅の新宿で大勢の通勤客らが乗り込むと、先頭車両は約6割の乗車率となりました。全ての列が埋まっているものの、1人で乗った客の通路側の座席はおおむね空いている状態です。 途中の吉祥寺でホーム上の非常ボタンが押される事案で一時停車したため、続く立川には3分遅れの19時22分に着きました。すると、乗客のほぼ半分が降り、中央線内が“主要区間”になっていることが分かりました。 つまり、乗車時間が比較的長い東京または新宿から立川へ、確実に座って帰宅したい利用者が、都合の良いダイヤで走っているため予約した場合が多かったようです。青梅線に直通する顧客が中心ではないかと予想していた筆者にとっては意外でした。 残る利用者の多くは拝島で下車。遅れを回復して19時52分に着いた終点の青梅までの顧客はまばらでした。
“乗り納め”にオススメの区間
「おうめ」と「はちおうじ」の廃止まで残すところ2か月余りとなり、「記念乗車」の鉄道ファンも増えてくるかもしれません。「おうめ」に乗る場合の区間で筆者がお薦めしたいのは、東京と拝島の間です。 というのは、この区間は49.3kmとギリギリながら50km以内の指定席特急料金が適用され、チケットレス指定券ならば660円で済むためです。もちろん、運賃も割安になります。 少しぜいたくをしてグリーン車に乗りたい場合は1430円と、普通車料金の倍以上かかりますが、青梅までの1690円よりは節約できます。 他に新宿~青梅や、「はちおうじ」の東京~八王子も50km以内の指定席特急料金となります。 中央線・青梅線では、ダイヤ改正前に快速電車などのグリーン車を追加料金なしで利用できる「お試し期間」が脚光を浴びています。一方で、「はちおうじ」と「おうめ」が運行されるのはあとわずかです。ダイヤ改正前にはグリーン車体験の傍らで、通勤ライナーの系譜を継いだ特急列車の“乗り納め”を楽しむのも手ではないでしょうか。
大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)