【ライブレポート】Khaki史上最大規模ワンマンで示した圧倒的進化、スリリングな演奏で観客を釘付けに
Khakiのワンマンライブ「ソロ・コンサート」が12月1日に東京・LIQUIDROOMで開催された。 【画像】Khaki「ソロ・コンサート」の様子。(撮影:渡邉隼 @hayatowatanabe)(他23件) ■ バンド史上最大規模のワンマンライブ 2018年に結成され、2021年に本格始動した“イマーシブ・アートロックバンド”Khaki。ポップでメロディアスな楽曲で支持を拡大する一方、再生順によって6通りの楽曲として楽しめるシングル「Undercurrent」など実験的な作品でも話題を集めており、今年5月には個人事務所・合同会社ア柿印を設立した。 LIQUIDROOMは、Khaki史上最大規模の会場ながら、彼らの勢いを反映する形でチケットはソールドアウト。当日の会場にはライブの生配信を視聴できるQRコードポスターがゲリラ的に掲示されており、各メンバーからの“粗品”も隠されるなど、バンドらしい遊び心があふれていた。 ■ 終始漂う緊張感 フロアが人で埋め尽くされる中、定刻の17:30を迎えると、シャツとタイでそろえた中塩博斗(Vo, G)、平川直人(Vo, G)、黒羽広樹(Key)、橋本拓己(Dr)、下河辺太一(B)がステージへ。5人それぞれが定位置に付き、センターに立つ中塩が気だるげに歌う「疾走」でライブは幕を開ける。始まりこそ静かだったが、2曲目の「裸、道すがら」で演奏は一気に激化。中塩の歌も狂気じみたものに変わっていく。 ライブは終始何が起こるかわからない緊張感に満ちていた。ジャジーな「Undercurrent #2」が荒々しく演奏されていたかと思えば、突如訪れた静寂の中で平川が澄んだ声で歌い出し、「どうも、Khakiです」という中塩のひと言から「Undercurrent #2」が再開される。そこからフォーキーな「Undercurrent #1」に接続されるが、ドラムの乱打で空気がリセットされると、平川がたゆたうように歌う新曲に戻り、軽快な「Undercurrent #3」が続けて演奏された。 ■ スリリングな演奏と対照的なツインボーカル こうしてムードの異なる楽曲を歪につなぎ合わせた形でライブは進行し、その後も中塩がトランペットを吹き鳴らすなど、観客を驚かせる展開が次々に待ち受ける。曲の始まりと終わりを予測しづらいため、拍手や歓声を挟み込む余地もほとんどなく、観客はそこで起こることをただ見守るしかない。 そんなスリリングな演奏を成立させるメンバーそれぞれの卓越した技術に加え、退廃的で妖艶な中塩と透き通って優しい平川のツインボーカルがKhakiの大きな特徴。歌い手が切り替わると演奏全体の雰囲気もまったく変わり、2つのバンドが交互に演奏しているかのような印象すら受ける。そんな対照的な2人でかけ合いを繰り広げる楽曲もあり、シェイカーを振って観客の視線を奪った黒羽や、ドラムを激しく打ち鳴らした橋本が突然歌い出す場面も。ステージのどこから弾が飛んでくるかわからない。 ■ 「音源も鋭意制作中」 「お祝い」「Overtone」といったノスタルジックなナンバーや、セッションが徐々にスピードアップして爆発的な熱狂を巻き起こす「文明児」など、多彩な楽曲をノンストップで畳みかけていくKhaki。原曲とかけ離れたアレンジの楽曲や音源化されていない楽曲も多く、バンドが進化の真っ只中にあることが窺えた。会場全体がその演奏に没入する内に1時間半が過ぎ、ライブも終盤に差しかかったところで、ようやくMCが挟まれる。と言っても言葉数は少なく、中塩は「ライブができて光栄です。音源も鋭意制作中なので楽しみにしてください」とだけ語った。 「hirakawa3」と題された爽やかなギターポップで本編が締めくくられたあと、ライブはアンコールへ。ここからは撮影が許可され、ファンがこの日の演奏を残そうと携帯を掲げる中、「Sal Urso」「害虫」「うってつけ」の3曲が続けて披露される。そして会場に熱気があふれる中、ライブはダブルアンコールに突入し、缶ビールを手にして現れた5人は疾走感あふれる「The Girl」を最後に熱演。観客は圧倒され尽くした様子で、会場は「すごいものを見た」という興奮で満たされていた。 ■ セットリスト □ Khaki「ソロ・コンサート」2024年12月1日 LIQUIDROOM 01. 疾走 02. 裸、道すがら 03. Undercurrent #2 04. 天使(前半) 05. Undercurrent #2→#1 06. 天使(後半) 07. Undercurrent #3 08. 子宮 09. 君のせい 10. Kajiura 11. 眠りの午後 12. Cut 3 13. B-side 14. Thirteen 15. 車輪 16. Pao 17. 違う月を見ていた 18. ハンメルフェストの口づけ 19. 萌芽 20. Hazuki 21. かれら 22. 新曲 23. お祝い 24. Overtone 25. 軽民物語 26. 文明児 27. hirakawa3 <アンコール> 28. Sal Urso 29. 害虫 30. うってつけ <ダブルアンコール> 31. The Girl