【Bリーグ】初優勝の広島を支えたドウェイン・エバンスの涙「この優勝はキャリアのハイライト」【バスケ】
ファイナル史上最少失点で広島が初のリーグ制覇
広島ドラゴンフライズがBリーグの歴史を変えた。 「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24」のゲーム3、泣いて笑ってもこの試合で勝った方が今季のチャンピオンとなる大一番で、広島は65-50のロースコアゲームで琉球ゴールデンキングスを下し、初のリーグ制覇を成し遂げた。 ディフェンシブな展開が続いたシリーズの中でも、特にディフェンスの強度が高かったこの一戦。広島は、シリーズをとおして琉球を苦しめたスイッチディフェンスとマッチアップゾーンを巧みに使い、前半を終えて35-29と6点のリード。 後半に入っても流れを明け渡すことはなく、特に3Qには残り6分26秒から1分22秒までの約5分間、琉球に1点も許さない完璧な守りを見せていた。巧みなシステムに選手個々のインテンシティの高い対人ディフェンスが組み合わさり、インサイドでもアウトサイドでも琉球は攻め手を失っていた。 最終的な50失点はBリーグファイナル史上最少で、チームでも今季2番目の少なさ。最後の最後でチームディフェンスが完成形となり、それが優勝を大きく手繰り寄せることとなった。 「ディフェンスはシーズンをとおして我々がプライドを持ってやってきたこと。ディフェンスが試合の多くを支えてくれた。オフェンスでも我々は相手を混乱させ、それを得点につなげることができた」 大黒柱としてチームを引っ張ったドウェイン・エバンスは、こう試合を振り返った。エバンス自身、このシリーズはオフェンスでは思うように点を取ることはできなかったが、ディフェンスではスイッチの要として、ガードからセンターまでの全てのポジションをハイレベルにマーク。とりわけ、ゲーム3では岸本隆一への見事なプレッシャーディフェンスで、3Q残り3分43秒には流れを大きく引き寄せるスティールをお見舞い。河田チリジがファウルトラブルでベンチに下がっている時間帯にはジャック・クーリーをフィジカルで押さえ込むシーンもあり、特にハイエナジーなディフェンスで広島のリングを死守してみせた。 苦戦したオフェンス面でも、ゲーム3の終盤にはミスマッチを突いたアイソレーションからのドライブで得点、あるいは相手のファウルを引き出した。試合時間残り3分からそれぞれ12点差、14点差と決定的なリードを築いた彼の連続ゴールは、チームとしてこの試合で決めた最後のフィールドゴールでもあった。 チャンピオンシップMVPは山崎稜、日本生命ファイナル賞は中村拓人が受賞したが、エバンスは間違いなく広島の大黒柱であり、攻防の起点でもあった。チャンピオンシップの8試合で記録した平均16.9得点、6.0リバウンド、4.1アシストは全てチームトップの数字だ。 「琉球で、すばらしい2年間を過ごして広島に来たんだ。広島はアンダードッグで、まだ成功の少ない状況だったけど、この舞台で彼ら(琉球)を倒すことができた。これ以上のことはないだろう。自分の決断はすばらしかったと感じるよ。うまくいくと分かっていた。自分の心に従ってここに来たんだ。僕はすごく成長できた。でも正直、信じられないよ」 エバンスは優勝の喜びをこう口にした。