浮気のトラウマが障壁に 入籍延期中の30歳カップルに黄色信号『さよならプロポーズ』3話
ABEMAオリジナル結婚決断リアリティーショー『さよならプロポーズ via ギリシャ』が、9月19日よりスタートした。本作に登場する2組のカップルは、付き合いながらもなかなか結婚に踏み切れずにいる。そんな彼らに与えられるのは、“恋人としての最後の旅行”。そして、その旅行の最終日には、「結婚するか」「別れるか」のどちらかを必ず選択しなければならない。究極の2択を突きつけられることになった2組が選ぶのは、涙の結婚か? それとも、涙の別れか。 【写真】好きだけど、価値観が合わない……号泣する30歳のモデル 10月3日公開の第3話の見どころを読み解いていく。細かなネタバレもあるため、ご注意いただきたい。 ・好きだけど、価値観が合わない相手とは別れるべきなのか? いちばん好きな人なのに。いや、いちばん好きな人だからこそ、素直になれなかったりする。27歳でラグビー選手のアオイと、30歳でモデルのモナ(彼らはSNS総フォロワー数35万人超のカップルYouTuberでもある)も、「向こうが直してくれたら、こっちだって直すのに」と、お互いに意地を張ってしまう。第三者からしたら、「そんなに合わないなら、もう別れた方がいいんじゃない?」と思ってしまうけれど、条件で好きになったわけじゃない相手を、条件で嫌いになることなんてできないから、難しい。“好き”という気持ちがある以上は、離れることなんてできないのだ。 そういう意味では、アオイとモナはすごく深い部分で愛し合っているのだと思う。恋愛よりも大事にしなければならないものがあるアオイと、パートナーと過ごす時間がいちばん重要だと考えているモナは、どこまでいっても平行線のまま。お互いがちょっとずつ歩み寄らなければならないのだろうけど、ずっと我慢をしなければいけないのも苦しい。それぞれ、もっと合う相手がいるだろうし、そういう人といた方がラクなのでは……? と思ってしまうが、それでも離れないということは、相当好きだということなのだろう。 人生100年時代と言われているいま、結婚相手とともに過ごす時間は途方もないくらいに長い。すごく価値観が合う人を選んだとしても、AIでもないかぎり、100%マッチする人間なんていない。確実に、すれ違いが生じる瞬間はやってくる。そうなったときに、乗り越えたい、相手に歩み寄りたいと思えるかどうかは、好きだという気持ちがどれだけ残っているかにかかってくるのではないか? と思った。アオイとモナは、価値観が合わないかもしれないけれど、向き合うことから逃げない。ちょっと離れたとしても、やっぱり磁石のように惹かれあってしまう。 3日目の夜、アオイの友人夫婦を交えてディナーをしたとき、その夫婦はモナが吐露した悩みに「分かる、分かる」と共感をしてくれた。 わたしたちだけが、こんなに悩んでいるのではないか? こんな未完成な状態で、夫婦になれるのだろうか? と立ち止まっている2人にとっては、心がラクになった瞬間でもあったのではないだろうか。結婚相手は、「この人とすべてが合う」と思える相手じゃなくていい。「この人となら、向き合っていきたい」と思える相手こそが、運命の人なんじゃないかなと思う。 ・“男は浮気をする”という固定観念を拭えない理由 交際相手に浮気をされた経験があるカホは、「男は浮気をするもの」という固定観念を拭えずにいる。これは、いま交際しているシュウヘイを疑っているわけじゃない。あまりにも裏切られた経験が辛すぎたから、自分を守るためにフィルターをかけてしまっているだけのこと。しかし、シュウヘイからしたら、「俺は俺だし」「俺って、なんなんだろうな?」という気持ちになってしまうらしい。 この問題は、どちらの気持ちも理解できるからこそむずかしい。カホは、「俺は浮気しないよ」と言って安心させてくれたらいいのに……と思うだろうし、シュウヘイは「ずっと疑われたままなのかな?」と不安になってしまう。「されてもないのに、不安になるのはもったいない。されてから、考える」と言っていた藤本美貴のように割り切れればいいのだろうけど、まだ傷が癒えていない状態では、難度が高いだろうか。 そして、シュウヘイが結婚に踏み出せない理由は、カホの“こうあるべき思考”も影響しているようだ。「男って、こうだから」と言われるたびに、「夫婦ってこういうもんだよね」「子どもってこういうもんだよね」と考え方を押し付けられるのではないか? と不安になってしまうらしい。カホが優しい性格だからこそ、シュウヘイもなかなか言い返すことができず、“カホちゃんの理想をすべて叶えてあげたい”と思ってしまうのだろう。そして、それが次第に重荷になっていった。 柔軟な考えをしていきたいシュウヘイと、理想を追い求めていきたいカホ。アオイとモナのように、感情的に気持ちをぶつけ合うことがない分、溝を埋めるのはなかなかむずかしそうだ。旅のなかで、お互いの想いをはっきりと伝え合うことはできるだろうか。
菜本かな