「なかなか寝付けない」「すぐに目が覚めちゃう」精神科医が教える、睡眠を良くする食べ物&飲み物
夜、なかなか寝付けない、眠りについてもすぐに目が覚めてしまう、睡眠時間は十分取っているのに朝スッキリしない、寝ても疲れが取れない等、睡眠について悩んでいませんか? この記事では、理想的な睡眠について説明しながら、睡眠を良くするための食べ物や飲み物についても紹介しています。 〈写真〉精神科医が教える、睡眠を良くする飲み物とは? ■「良い睡眠」とは 良い睡眠って、どんな睡眠のことをいうと思いますか?と質問すると、多くの方が睡眠時間8時間の睡眠と答えます。 確かに、理想的な睡眠時間は、8時間。とよく言われていますよね。 でも、人によって必要な睡眠時間は違い、3時間で十分な人もいれば、10時間必要な人もいますので、8時間睡眠=良い睡眠ではありません。 では、良い睡眠とは、一体どんな睡眠なのでしょうか? それは、眠りについて30分以内に、ノンレム睡眠レベル4(最も深い睡眠)が起こること。 脳を休めるノンレム睡眠と体を休めるレム睡眠の2種類の睡眠からなるノンレム-レム睡眠が90分から120分を1サイクルとして一晩に2から3サイクル繰り返しおこっていること。 この2つを兼ね揃えた睡眠が良い睡眠、つまり朝起きた時に疲れがとれていて熟睡感のある睡眠となります。 ■良い睡眠が得られやすくなる食べ物&飲み物 夕食が遅くなったり、夜活動したりなどすると、交感神経の働きが強まり、寝入り直後の深いノンレム睡眠が起こりにくくなる上、ノンレム-レム睡眠サイクルも不安定となり、浅い睡眠ばかりが朝まで続いてしまうなど、眠っているのに疲れがとれない熟睡感のない悪い睡眠になってしまいます。 ですが、現代社会は、夜型生活になりがち。 夕食は7時頃、夜10時以降は活動しないと言ってもなかなか難しいですよね。 そこで、良い睡眠が取りやすくなる食べ物や飲み物について紹介いたします。 ■①睡眠を良くする食べ物 寝入り後に、深いノンレム睡眠が起こるために必要不可欠な物質が睡眠ホルモン「メラトニン」です。 メラトニンは、ビタミンB12の作用によりセロトニンから作られるホルモンです。 また、セロトニンは、アミノ酸の1つであるトリプトファンを原料として、ビタミンB6の作用により作られます。 つまり、朝、トリプトファンとビタミンB6を多く含む食品を摂取する事で日中にセロトニンを沢山作ることができるようになります。 そして、夕食に、ビタミンB12を多く含む食品を摂取する事で、日中に作られたセロトニンをメラトニンに変換することができるようになり、良い睡眠を得ることに繋がります。 具体的には、 <トリプトファンを多く含んでいる食品> バナナ マグロ かつお ツナ缶 カシューナッツ ピスタチオ くるみ アーモンド ピーナッツ プロセスチーズ <ビタミンB6を多く含んでいる食品> バナナ マグロ かつお ツナ缶 カシューナッツ くるみ アーモンド 落花生 マカダミアナッツ レバー 鶏ささみ 鶏胸肉 パプリカ ブロッコリー アボカド 玄米 ごま <ビタミンB12を多く含んでいる食品> レバー しじみ あさり プロセスチーズ いわし のり ということで、 朝食には、 バナナ、プロセスチーズを1品加える お昼には、 ツナマヨおにぎり、マグロ丼、チキン南蛮など マグロやツナ缶、鶏胸肉を使った料理を食べる 夕食には、 しじみ又はあさりのお味噌汁を添える これが夜ぐっすり眠るためのおすすめの食べ物です。 ■②睡眠を良くする飲み物 緑茶や抹茶などのお茶に含まれているテアニンには、交感神経の働きを抑えて副交感神経の働きを活発にする作用があります。 副交感神経の働きが活発になると、心身ともにリラックスしやすく、深いノンレム睡眠が起こりやすくなります。 ただ、お茶と言えば、カフェインを含む代表的な飲み物ですよね。 カフェインには、交感神経を刺激して、脳を覚醒させる作用があるため、カフェイン入りのお茶では、テアニンのリラックス効果が弱められてしまいます。 そこでオススメなのが水出し緑茶です。 なぜ、水出しか?と言うと、お茶に含まれるテアニンは、水にもお湯にも溶け出しますが、カフェインは水には溶け出しにくく、冷水に茶葉を加えてお茶を作ると、カフェインをほとんど含まないテアニン入りのお茶ができます。 このテアニン入りのお茶を寝る前30分ぐらいにコップ1杯(200ml)飲むと、心身がリラックスして良い睡眠を得ることができるようになります。 ■まとめ 睡眠を良くする食べ物、飲み物について紹介させて頂きましたが、睡眠を良くするためには食べ物や飲み物だけでなく、就寝する部屋の環境(真っ暗ではなく月明かり程度の明るさにする等)、夕方以降から寝るまでの過ごし方(入浴は寝る1から2時間前など)にも工夫が必要です。 なかなか眠れない、寝ても疲れが取れないという方は、手軽に出来る方法から試してみてはいかがでしょうか? 文/豊田早苗(精神科医)
豊田早苗