米国で「ご馳走さま」をふりかえる
蓋を開けたらトランプ元大統領が圧勝だったアメリカ大統領選挙も終わり、今年も残すところサンクスギビングとクリスマスを迎えるだけとなりました。現在、トランプ新大統領が指揮をとる人事がメディアでは取り沙汰されています。イーロンマスク氏やトランプ氏と志を同じくする政治家たちの名前が挙がっていますが、彼らが今後アメリカの舵取りをどこに向けるのかはまだ明確には見えてきていません。 さて、そんな混沌とした世間の雰囲気を振り払うには(おそらく)飲んで食べるのが一番。 11月になるとFall feastという言葉をよく耳にしますが、直訳すると秋のご馳走。秋は収穫と感謝の季節なので、家族や友人と集まって美味しい食事を楽しみましょう、という広告などが増えてきます。アメリカでご馳走様と言い続けて早5年。今回は食したものを総ざらいしてみようと思います。多様な食文化が混在するアメリカならではのご馳走をご紹介します。 渡米当初、週末に朝ごはんをよく食べに行っていたお気に入りのお店も素敵なオーナー夫妻がコロナ禍に相次いで亡くなり、地元民に惜しまれながら閉店。現在はチェーンの朝ごはん専門レストランが居ぬきで営業していますが、足が向かなくなってしまいました。家族経営のお店ならではのパンケーキやオムレツの味が懐かしくなります。 手軽ではない外食 アメリカでの外食はテーブルに着席し、給仕してもらうスタイル(料理を運んでもらう、水をつぎ足してもらうレベルのサービスです)のカジュアルなレストランで大人2人が前菜、メイン、デザートの食事をすると、アルコールなしでも1人100ドル以上になります。チップは食事代の18-20%が基本。家計にゆとりのある人しか頻繁な外食はできないと思われますが、記念日やイベントに外食するのはアメリカ人のお気に入り。お洒落をして評判のよいレストランに繰り出します。 シカゴのダウンタウンでは超高級レストランからフードトラックまで外食のチョイスは多種多様。しかし、シカゴのダウンタウンに通勤している夫曰く、アメリカ人スタッフはほぼ全員がサンドイッチを自宅から持参しているそうです。夫もお弁当を持参。フードトラックのランチでも日本円で約2,000円位するので、特別な機会しか外食はしないようです。ワンコインでランチなどアメリカでは夢の世界の話かもしれません。 オフィスでイベントがある時は必ずピザが登場するのだとか。ピザもお店によって特徴が異なるので、その時の幹事の好みのピザ屋さんからデリバリーされるそうです。ちなみに金曜日はPizza Fridayと言って夕飯にピザを食べる家庭が多いです。息子も時々「今日はPizza Fridayだから、ピザ食べにおいでよ」と友人に誘われ喜んでお邪魔していますが、大抵はデリバリーのドミノピザをご馳走になっています。火曜はTaco Tuesdayと言ってタコスを食べます。メキシコ料理はアメリカ人の大好物。メキシコ人に言わせると本場から相当アレンジされているそうですが、どんな小さな街でもメキシコ料理屋さんを見かけます。 アメリカのアジア料理 タイ料理はタイ人に、インド料理はインド人にお勧めのお店を聞くのが一番です。地元のアジア系レストランに行ってもスパイスの香りと辛さが物足りないのです。そこで教えてもらったのがお寺。シカゴにあるタイ仏教寺院では春~秋の間は毎週日曜に小さな市が開かれ、料理自慢の方々が作ったタイ料理が並びます。バンコクの屋台にいるような本場の味に満足すること間違いなし。ナマズのから揚げのスパイス和えやタイ東北部のもち米まで食べられます。 インド料理も毎週日曜日にシーク教寺院に行くと、スパイスたっぷりのベジタブルカレーをふるまってくれます。信者でなくてもウェルカムなので、インドにルーツを持つ人々とお話が弾んで楽しめること間違いなし。またインド系人口の多いエリアにあるレストランは辛さもスパイスも本格的で外れはありません。片言のヒンディー語で注文すると、喜んだ店員さんがデザートやおつまみをサービスしてくれるのもお約束。アメリカの中にあるアジアコミュニティの結びつきを感じられます。 東欧料理も人気 シカゴ近郊は歴史的にポーランドやチェコなどからの移民が多いので、東欧料理も根強い人気です。なかでもピエロギと呼ばれる餃子と同じ形をした小麦粉の生地に具(チーズ、肉、野菜など)を詰めて、茹でたり焼いたりするものが好まれています。一度だけ食べましたが、個人的には中華系の餃子の方が好みでした。 みんな大好き日本食 シカゴ郊外の保守的なエリアにおいても近年の日本食人気は例外ではありません。ラーメン、寿司、しゃぶしゃぶはもはや英語として認知されており、より本物を求める人も増えています。柚子や出汁でお刺身を楽しむといったお洒落系の寿司バーなども登場しています。シカゴのダウンタウンには日本から澤田コーヒーが出店(アメリカ1号店)しており、抹茶とコーヒーがブレンドされたミリタリーラテ(緑と茶色の模様が由来)を求める行列が絶えません。 5年間アメリカで色々なものを食べ続けてきましたが、日本に帰国したら懐かしくなるだろうアメリカのご馳走は 1位:ピザ (素材の違いなのかチーズ、生地、ソース全てが美味しいのです。地元の人気店に行けば間違いなし) 2位:赤身の牛肉ステーキ (美味しい牛肉は米国内で消費されていることを実感。赤身の旨味を堪能できます) 3位:ドーナツ (なぜか美味しいアメリカのドーナツ。日本の有名チェーンとは一味違った食べ応えと小麦粉の香りを感じます) 年末年始、アメリカにご旅行予定の方は世界の味を是非お試しください。
河合良子