衆院選後の市場が示唆する「日本株の今後」 一連の「株高・円安・債券安」が意味すること【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】
3. 金融株の動きが示唆するもの
■景気浮揚への期待や財政悪化への懸念もあってか、市場金利が上昇しています。株式市場ではこうした流れを受けて、金融セクターの株価が好調に推移しています。選挙前10月25日から10月29日にかけてのTOPIX33業種のパフォーマンスを見ると、1位に証券・商品先物、3位に銀行、5位にその他金融業が入り、金融セクターが並びます(図表4)。 ■中でも目を引くのが、証券業の上昇で、2日間の騰落率は+4.53%でトップとなっています。こうした動きは、石破総理が自民党総裁選の前に口にしていた「金融所得課税」の検討・導入が困難になったことを市場が好感しているからではないでしょうか。仮にそうであれば、貯蓄から投資への流れが今後も政策的に後押しされ、金融所得の向上を通じて日本経済を下支えするポジティブな効果が期待できそうです。
まとめに
株式市場にとってネガティブと思われた与党の敗北後に、予想外の株高が起きています。過去のマーケットを振り返ると、イベント通過後の想定外の値動きは、その後の新たなトレンドを示唆する場合が少なくありませんでした。そう考えると、今回の与党の惨敗が、日本経済や日本株にとってポジティブに働く可能性が高まっているのかもしれません。特に、金融緩和が維持され、実質賃金の向上をもたらす経済政策がとられ、更に、貯蓄から投資への流れが加速するようであれば、日本株にとっては追い風となる可能性が高そうです。 ※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】』を参照)。 白木 久史 三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフグローバルストラテジスト
白木 久史,三井住友DSアセットマネジメント株式会社
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