「パラサイト」快挙に沸く韓国 日本映画どうすれば作品賞狙えるのか
韓国の映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)がアカデミー賞の作品賞をはじめ4部門を受賞したことが大きな話題になっている。アカデミー賞では外国語映画に対して国際長編映画賞(旧・外国語映画賞)が用意されており、これまでは英語圏以外の映画には同賞が与えられてきたが、作品賞を外国語映画が受賞したのは史上初めての快挙だ。その背景には、アカデミー賞自体が変革を求めているタイミングだったとの声もある。日本映画もその波に乗れるか?
過去、外国語映画賞には日本映画も選出
まず昔から外国語の映画に与えられてきた国際長編映画賞(外国語映画賞)の歴史を簡単に振り返ってみたい。ここでは日本の作品も受賞作に名を連ねている。英語以外の言語による映画を対象に1947年度から49年度にかけては「特別賞」の一つとして、1950年から55年度(表彰のなかった53年度は除く)にかけては「名誉賞」の一つとして行われたのがルーツで、黒澤明監督「羅生門」(51年)、衣笠貞之助監督「地獄門」(54年)、稲垣浩監督「宮本武蔵」(55年)と、日本の作品も表彰を受けている。そして1956年度からは「外国語映画賞」として他の部門同様の単独賞になり、毎年ノミネート作の中から最優秀作が選ばれる形になった。1975年度はソ連(当時)の資本ですべてソ連で撮られた映画だが黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」、2008年度は滝田洋二郎監督の「おくりびと」が受賞している。今回からは国際長編映画賞に名称を変更し続いている。 そして今回、この国際長編映画賞には「パラサイト」が輝いた。しかし「パラサイト」はそこで終わらず、作品賞も受賞してしまったのだから世界中の映画関係者や映画ファンが驚いた。昨年は全編スペイン語の「ROMA/ローマ」(アルフォンソ・キュアロン監督)が10部門にノミネートされ外国語映画賞、監督賞、撮影賞の3部門を受賞したが、作品賞は逃した。ポン・ジュノ監督はじめ関係者はもちろんのこと、韓国中が吉報に沸き返っている状況だ。