108歳女性がずっと大切にしてきた「3つの心がけ」 誰とも争わなかったから平和な暮らしがある
「ひるまず」は、わたしの経験から「勇気を持つことが道を切り拓く」と思ったからです。右も左もわからない東京へとひとりで上京するのも、修業も、お店を替わるのも、結婚も、勇気を振りしぼって行動しました。子どもたちにも、何ごとにも勇気を持って、前向きに挑戦できる人になってほしかったんです。 「うらやましがらず」は、自分で努力して、自分だけができることを身につけてほしいという気持ちから。世の中にはいろいろな人がいますからね。いいものを持っている人、自分ができないことをやれる人……。いちいちうらやましがっていても卑屈になるだけで、何も始まりませんのでね。
「あらそわず」は、友だちとけんかをしないでほしかったからです。うちは客商売の理髪店ですから、「お客さんあっての我が家」ですし、争ってわだかまりを残すことほど馬鹿馬鹿しいことはありません。今、わたしが平和に暮らしていられるのは、誰とも争わなかったからですし、仕掛けられてそれに乗ってしまえば、お互いが傷つくだけとなってしまいますしね。 とはいえ、言って聞かせるだけでは説得力がありませんから、わたし自身がそのように生きて、背中を見せなくてはなりません。そして「お母ちゃんのように生きていけばいいんだな」と、子どもにわかってもらうことが大事だと思っていました。
だから、言って聞かせるのもそれなりの覚悟がいりましたけれど、「ひるまず・うらやましがらず・あらそわず」は、107歳の今でもわたしが日頃から心がけていることです。老年の域に入っている娘も息子も、その言葉どおりに生きてくれていると思っています。 ■いい加減にならないこと、機嫌良くしていること 「いつお迎えが来てもいい」なんてお年寄りがよく言いますね……って、わたしもけっこうな年寄りですけれど(笑)。 たしかにそう思います。本心です。でもね、死ぬこととか寿命についてとか、あまり考えなくていいんじゃないかと思います。「死ぬ」「生きる」は神さま仏さまがお決めになることでね、こちらがいろいろ考えたところで、そのとおりになるものでもないので。ですから、「おまかせ」の心境ですね。