【新車】新型パニガーレV4Sが414万円で年内国内発売! 担当エンジニアが開発秘話を公開「誰が乗っても1秒速い」
94%新設計された車体と、エレクトリックサポートが生む新次元の走り
開発においてはさまざまなレベルのライダーを乗せてテレメーター評価を行ない、先代のネガを潰すことはもちろん、誰もが速く走らせることができる世界最高レベルのスポーツバイクを作ることにドゥカティのエンジニアは全力を注いだと言う。 ブレーキシステムは完全にリニューアルされ、ストッピングパワーだけではなくエレクトリックサポートと連携してマシンのコントロール性を向上する。ブレンボハイピュアキャリパーとボッシュのeCBSで構成される新ブレーキシステムによって、よりコーナーの奥まで強くかけられるようになっている。そして、横方向の剛性を減らしたフレームとスイングアーム、eCBSによってリアブレーキを効率的に使い、ターンインに向かってうまく走らせていくことができるのだという。 先代のパニガーレV4/V4Sの数少ない弱点として、アペックスが他メーカーに比べて遅かった(リーンが1番深いところでのスピードが他メーカーに劣る)ということをドゥカティは認めている。プロライダーはリアブレーキを使ってリアを適切にスピニングさせてこの弱点を補っており、ドカティスライドコントロールはこの需要を見込んで生まれている。簡単に言うと、ドカティスライドコントロールはこのリアをスピニングさせてマシンを脱出方向に向けるという作業を、マシンがアシストしてくれるのだという。 また、スイングアームの横剛性を落とすで車体全体のメカニカルグリップを高め、よりエレクトリックサポートを使いこなせるようになっている。これによってコーナー脱出路のタイヤの横グリップから縦グリップへの以降を素早く行ない、スロットルのアシストによってトラクション性能が向上して脱出スピードが上がる。スロットルはアソビがまったくなく、ライダーの操作に対してリニアに反応することを最優先に考えられている。
最新を追い求めて辿り着いた、原点916
デザインは916をオマージュしていると発表されているが、低く、長い今のモトGPバイクはタイヤの進化によってデザインに大きな変化が起こっており、そうした要素を盛り込んだデザインを進めていくうち、916に似てきたことにデザイナーが気がついたのだという。 アッパーカウルのサイドエアダクトが無くなり、その位置にはウイングが取り付けられている。今まではエアインテークをそこに設け充填効率を高めていたのだが、バイクの中でどこに1番強い位置に圧力がかかるかを考えるとこの位置が最適だったという。 フロントフェアリングのデザイン変更でドラッグは4%減っているという。空気抵抗はライダーを含めて考えられていて、タンクはその最もたるもの。上部のヘルメットを収める窪みを作り、物理的にライダーのヘルメットの位置を下げ、ニーグリップ部分は大きくえぐられる。また、ショルダーの部分はハングオンしている時に肘をひっかけて体を安定させることができるようになっており、これは916の時代から受け継ぐ伝統でもある。 シート座面は前後に35mm、左右に50mm広げられ、新しい時代のバイクやタイヤが必要とするバンク角に対してライダーが安定した姿勢を保てるようにデザイン。また、シートは背の高いライダーであってもより低く伏せることができる作りになっている。ステップは従来のパニガーレよりも左右それぞれ10mm内側に入っている。これはライダーを含めた前面投影面積を減少させ、コーナリング路にブーツの先端が地面に当たる率が若干減らす効果もあり、そういった意味においても乗りやすさが向上している。このように細部までライダーとマシンの一体化のためのデザインが施されている。 公道走行されているライダーからは色々と声が聞こえる熱の問題は、レースの現場でもライダーが低温やけどをしてしまうなど非常に厳しい状態にある。エンジンのパフォーマンスが上がりすぎて、どう熱を逃すかというのが大きな問題になっている。ラジエターダクト、オイルクーラーダクトだけではなく、サブフレームの中を通ってリアエンドのダクトから排熱されるようにデザインされている。また、吸い出された熱気をいかにライダーに当てないかとということを考えて各部のダクトはデザインされている。 クーリングに関して言えば、フロントのフェンダーの幅が太くなっており、これは空力+冷却性能の向上のための形状変更。また、スリックタイヤを入れても干渉しないように考慮されてデザインされている。このフェンダーで整流された空気がラジエター、そしてオイルクーラーに当たる率はオイルクーラーが19%、ラジエターで9%向上。ラジエターは実効冷却面積を7%ほど大きくして、増えた熱量をより効率的に冷却する。結果的に熱交換効率はラジエターで12%オイルクーラーで7%アップさせており、これは各部のダクトの効率アップも貢献している。